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各種世界ランキングへの関心が急低下?日本経済は死の受容プロセスの3段階目か

 

 このところ日本が各種の世界ランキングで著しく順位を落としている。以前は、ランキングの低下がニュースになり、ランキングへの反発も含めて大きな反応があったが、最近ではこうした話題が取り上げられること自体が少なくなってきた。

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 世界銀行は2016年10月25日、2017年版のビジネス環境報告書を発表した。日本は全体評価で34位と低迷した。実は、このランキングは安倍政権が成長戦略における政策目標としていた非常に重要な指標である。

 安倍政権は2013年に発表した「日本再興戦略」において「2020年までに世界銀行のランキングにおいて先進国で3位に入る」という目標を掲げた。
 2013年当時の全体ランキングは改訂前の状況で24位となっており、OECDを先進国と定義するなら先進国でのランキングは15位だった。これを一気に3位に引き上げようということなので、かなり野心的な目標といってよい。

 目標を設定してからの状況は散々だった。ランキングは低下の一途を辿り、3年が経過した現在、先進国での順位は24位にまで低下している。日本は起業の容易さで89位、資金調達で82位とかなりの低ランク。税の支払いなどでも足を引っ張った。日本がトップクラスだったのは、「破たん処理」(2位)だけという皮肉な状況となっている。

 このほか、大学競争ランキングや男女平等ランキングなど、多くの評価で日本の地位低下が目立っている。以前はこうしたランキングに対しては、反発も含めて大きな反応があった。だがネットなどにおける反応は徐々に変化している。
 当初は「そんなはずはない」「インチキだ」といった否定の反応が多かったが、その後は「日本は貶められている」といった怒りに変わり、最近では「もう気にしてませんから」といった反応が目立つようになっている。

 一連の変化はどこかで目にしたことがないだろうか。医療や心理学をかじったことがある人ならピンとくるかもしれないが、これは終末期医療における死の受容プロセスに非常によく似ているのだ。
 受け入れがたい病気にかかった患者は、当初は否定するが、怒りに変わり、その後、取引を行うようになる。最後は抑うつを経て受容のプロセスに至る。この説については非科学的だとの批判もあるが、こうしたプロセスを辿る人は少なくない。

 先ほどのコメンとでは、「インチキだ」は否定、「貶められている」は怒り、「もう気にしてませんから」はクールに装うことで安定を保とうとしているという意味で、取引ということになるだろう。もしこのプロセスのように進むのだとすると、そろそろ投げやりになり、その後は衰退を受け入れるという形になる。

 だが日本の場合、膨大な政府債務、高い高齢者人口比率、資源がなく大規模農業にも適さない地理的条件、人口の多さ、紛争多発地帯に位置する地政学的条件などを考えると、緩慢な衰退プロセスを受容できる環境にはない。

 安倍政権はランキングについてもはや触れておらず、なかったことにしようとしている。これは安倍政権単独の問題というよりも、国民全体が関心をなくしていることが背景となっており、非常に危険な兆候である。

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