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韓国の学歴社会がもたらす、朴槿恵大統領に対する激しい怒り

 

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が厳しい立場に追い込まれている。支持率は10%を切り、大規模なデモが開かれるなど状況は緊迫している。大統領の友人による国政介入疑惑がきっかけだが、事態がここまで悪化する背景には、韓国社会特有の息苦しさがあるとも言われる。

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 今回の疑惑の中心人物となっているのは、朴大統領の40年来の友人といわれる崔順実(チェ・スンシル)容疑者である。崔容疑者については、多くの疑惑が取り沙汰されているが、どれも今ひとつはっきりしないものばかりだ。
 大統領から演説の草稿を見せてもらい、内容についてアドバイスしていたことに対して激しい批判が寄せられているが、普通に考えれば身柄を拘束されるほどの話ではない。崔容疑者の娘がコネで名門女子大学に入学したといった話や、財団の設立について大統領から便宜を図ったもらっていたなどの疑惑も同様である。

 確かに崔容疑者は少々怪しげな人物ではあるが、一般的な民主国家であれば、在宅で事情徴収される程度の話だろう。朴氏本人についても、大規模な辞任要求が出るほどの話とは思えない。ここまで崔容疑者や朴氏が批判される背景には、特権階級に対する庶民の強い反発があるといわれている。

 韓国は近年、驚異的な経済成長を実現しており、数字上の豊かさはすでに日本と同レベルである。2015年における韓国の1人あたりのGDP(国内総生産)は約2万7000ドルとなっており、日本の3万2000ドルに近づいている。
 また韓国の貧困率は日本よりも低く、社会の格差を示す指標であるジニ係数を見ても、韓国と日本はほぼ同レベルである。高額所得者による富の独占についても同様で、所得の上位10%が全体に占める割合は、韓国は21.9%、日本は24.4%と韓国の方が低い。

 日本や韓国は欧州の先進国と比較するとかなり不平等が社会だが、少なくとも韓国が経済的に日本よりも著しく厳しい環境に置かれているわけではない。だが韓国には数字では評価できない息苦しさがあると指摘する声は大きい。

 韓国の学歴社会は苛烈で、学歴が人生のすべてを決めてしまうともいわれる。またコネがないと会社でも出世しにくく、階層間の移動が実は難しい。
 今回のスキャンダルでもっとも国民から批判を受けているのは、娘のコネ入学だといわれる。学歴はコネのない庶民にとって最後の砦であり、この部分までコネが横行してしまうと、すべてを奪われたような感覚に陥る人も多いのだという。

 こうした韓国の事情は示唆に富む。日本も韓国ほどではないが、自由闊達な競争がなく、学歴で人生の多くが決まってしまうという点では同じである。数字の上でいくら平等であっても階層間の移動が制限されていては、国民の幸福度は上がらない。今回の韓国のスキャンダルは、他山の石とすべき事例といってよいだろう。

 - 政治, 社会 ,

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