ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

デフレでゲタを履かせられた7~9月期の実質GDP。輸出の落ち込みはかなり深刻

 

 内閣府は2016年11月14日、2016年7~9月期のGDP(国内総生産)速報値を発表した。物価の影響を除いた実質はプラス0.5%(年率換算2.2%)と予想を上回った。
 主要メディアは「3期連続のプラス成長」と大々的に見出しを付けているが、現実は消費者物価指数の下落で実質値が底上げされたに過ぎず、実体経済は依然として弱いままだ。特に輸出の低迷はかなり深刻な状況にある。

bouekikontena
 GDPの6割を占める個人消費は前期比プラス0.1%、設備投資は横ばいだった。輸出がプラス2.0%となっており、メディアの報道はこれを根拠に外需主導で景気が回復したと論じている。だがこれは物価の影響を考慮した実質値である。

 名目値を見てみると、GDP全体はプラス0.2%、個人消費はマイナス0.1%、設備投資はマイナス0.4%、輸出はマイナス0.5%とかなり悪い。このところ日本経済はデフレとも呼ぶべき状況となっており、消費者物価指数は7カ月連続のマイナスが続く。GDPデフレ-ターも0.3%のマイナスとなっており、これが実質値を底上げした。
 何のことはない、デフレなのでGDPが伸び悩んでも見かけ上はプラス成長になるというカラクリである。これはデフレに悩まされて続けた、かつての日本経済ではごく日常的な光景であり、それが繰り返されているに過ぎない。

 特に深刻なのは輸出入である。外需主導で景気回復というトーンの報道が多いが実体はまったく逆である。貿易統計を見ると、7~9月の輸出は大幅なマイナスが続いており、それに伴って輸入も激減している。
 輸出が減っているということは、設備投資も抑制されるので、輸入はそれ以上に減少する。そうなると輸出から輸入を引いた純輸出は、一時的には増えたように見える。今回、外需主導でGDPがプラスになったというのはこれが原因である。本当に輸出が増えているわけではないことに注意する必要がある。

 このように現実にはよい材料がない7~9月期のGDPだが、多少の楽観シナリオもある。それはトランプ政権の誕生による円安である。米国が保護貿易に傾かず、円安で輸出が増えれば、外需主導でGDPを底上げすることができる。
 だが、このことは、外部環境に頼らなければならないほど内需が冷え込んでいることの裏返しでもある。日本経済は引き続き厳しい状況にあるのが現実だ。

 - 経済 , , ,

  関連記事

facebookmobile
フェイスブックの3Q決算はまずまず。今後は成長投資の加速で経費は増大

 SNS最大手の米フェイスブックは2014年10月28日、2014年7~9月期の …

wallst02
米国で雇用の質が徐々に改善。NYではウォール街に頼らない雇用増を実現

 景気拡大が続く米国で雇用の質が改善している。ニューヨークでは、かつてはウォール …

businessphone01
職場で電話を取りたがらない若者急増中。だが世代間ギャップの話にするのは危険

 最近、会社内において電話を取れない(取らない)若手社員が増えているという。デジ …

factory06
国内の設備投資は見かけ上増加。だが季節調整済みではマイナスに

 財務省は2014年3月3日、2013年10~12月期の法人企業統計を発表した。 …

sekiyu
内閣府の世界経済に関する報告書。原油安がプラスの影響をもたらし、米国・欧州経済の拡大が続く

 内閣府は2015年6月13日、世界経済の現状に関する報告書「世界経済の潮流(2 …

robotfunuc
ロボットが普及すると仕事が減るはずでは?経産省の試算がイメージと逆な理由

 ロボットや人工知能(AI)が普及すると仕事がなくなってしまうというのが一般的な …

uknuclear
英国の原発事業に中国が過半数の出資。日本の原発メーカーの戦略にも影響?

 英国と中国は10月17日、英国に建設する次世代原発の運営企業に中国が過半数の出 …

sbtakasago
太陽光発電の買い取り価格が2年連続で引き下げの見込み。36円は高いか安いか?

 経済産業省は、太陽光発電の電力買い取り価格を昨年に続いて引き下げる方針であるこ …

pplane
近い将来、タクシー感覚で乗れる航空輸送サービスが登場?値段も新幹線並み

 新幹線程度の料金で好きな時にタクシー感覚で利用できる航空輸送サービスの研究が欧 …

aruno
アルノー家がディオールの株式を追加取得。LVMHの不透明性を払拭

 高級ブランド最大手LVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)は2017年4月25日 …