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トランプ氏の当選で日米金利が急上昇。シナリオが狂ってしまった日銀

 

 トランプ大統領の誕生をきっかけに、日米の債券市場で金利が急騰している。米国はすでに量的緩和策を終了しているが、日本はイールドカーブ・コントロールという新しい量的緩和策の導入を決めたばかりである。方針転換をしたのもつかの間、日銀はあらたな難題を抱え込んでしまった。

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 米国債10年物の利回りは、これまで1.8%前後で推移していたが、トランプ氏の当選が決まった11月8日以降、急騰し、現在では2.3%を突破している。
 トランプ氏は大規模な公共インフラ投資を公約として掲げているが、一方で減税も主張しており、投資の財源は国債発行に頼らざるを得ない。一連の金利上昇は、公共事業による景気の拡大と国債増発による資金需要の逼迫化を先取りした動きといえる。

 FRB(連邦準備制度理事会)は、金利上昇ペースは抑えつつも、継続的な金利上昇を望むというスタンスだった。トランプ氏の掲げる政策とは多少、方向性は異なるが、金利上昇を容認するという点で大きなズレはない。こうしたことも、投資家に国債を売るインセンティブを与えている。

 米国の金利急騰でやっかいな状況に追い込まれたのが日銀である。日銀は、9月に開催した金融政策決定会合において、新しい金融政策の枠組みを決定。国債の金利を適切な水準に保つイールドカーブ・コントールと呼ばれる新しい手法を導入している。

 これは量的緩和策の事実上の撤退戦を意味しているが、この政策の大前提となっていたのは、金利は当分の間、上昇しないという安心感であった。金利が低いままであれば、無理に追加緩和をせずに済み、その中でイールドカーブの傾きさえコントロールできれば銀行の収益も維持できる。
 緩和的スタンスを維持しながら、事実上、追加緩和を回避することができるので、時間稼ぎをしたい日銀にとってはベストな選択肢であった。市場も日銀の置かれた状況はよく理解しているので、この新しい枠組みを正面から批判する声は少ない。

 ところが日本の金利が急騰するということになると話は変わってくる。米国の金利上昇を受けて、日本国債の金利も上昇を開始し、15日には10年物がプラス圏に転じ、16日には9カ月ぶりの水準まで上昇してしまった。
 こうした事態を受け、日銀は市場価格よりも低い値段で国債の入札を行う「指し値オペ」を実施。応札した投資家はいなかったものの、日銀の意図は伝わり、一旦、金利の上昇は鈍化した。

 ただ、今後も米国の金利上昇が続くような事態となった場合、同じ手段が有効であり続ける保障はない。指し値は、あくまで日銀の意思を示す手段でり、言ってみれば伝家の宝刀である。ひとたび刀を抜き、それに効果がないと市場が判断してしまった場合、金利の上昇は止められなくなる。

 今のところ日銀を試すような投機的な動きは見られない。だが場合によっては日銀が望まない形で追加緩和を迫られる可能性も十分に考えておく必要があうだろう。

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