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安倍首相がトランプ氏にわざわざ中国企業の製品をプレゼントした政治的意味

 

 安倍首相とトランプ次期米大統領の会談で安倍首相がトランプ氏に贈った黄金のゴルフクラブが中国企業の製品だったことが話題になっている。首脳会談でのプレゼントがしばしば政治的メッセージを帯びるというのは外交の世界では常識である。今回の出来事はどう解釈すればよいのだろうか。

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 安倍氏とトランプ氏の会談は2016年11月18日、ニューヨークのトランプタワーにあるトランプ氏の自宅で行われた。まだ大統領に就任していない人物の、しかも自宅に一国の首相がわざわざ訪問するというのはかなり異例のことである。安倍氏としては何としても世界の首脳に先がけてトランプ氏と会談し、個人的な信頼関係が強固であることをアピールしたかったものと思われる。

 会談では安倍氏は50万円もするという黄金のゴルフクラブをプレゼント。トランプ氏は約500ドル(約5万6000円)のゴルフ・シャツを贈り返したと伝えられる。会談ではゴルフ談義に花が咲いたという。

 ところが会談終了後からネットなどでは、プレゼントしたクラブが中国企業の製品だという話題が飛び交うようになった。
 安倍氏が贈ったのは、本間ゴルフ製の高級ドライバーなのだが、実は本間ゴルフは経営破たんをきっかけに中国企業に買収されており、経営陣にはズラっと中国人の名前が並ぶ。今年の10月には日本ではなく香港市場に上場しており、確かに中国企業ということになる。

 首脳同士のプレゼント交換がしばしば政治的メッセージを帯びるというのは外交の世界では常識である。このクラブは安倍首相の指示を受け外務省が購入したということだが、いろいろな解釈ができる。

 トランプ氏は保護主義的な主張を繰り返しており、TPPからは脱退を宣言している(会談当日はTPPについてまだ態度を保留していた)。
 本間ゴルフは、山形の本間財閥の血を引く由緒あるメーカーだったが、現在は中国企業に買収されており、グローバル社会を象徴する企業である。こうした企業の製品をプレゼントすることで、米国が過度な保護主義に傾かないよう、さりげなくトランプ氏を牽制したとみることができる。

 安倍氏は外務省にわざわざ国産のものを探すよう指示したとのことなので、逆に中国企業に買収されても日本の技術は変わらないという意味にも取れる。トランプ氏は1980年代の日本企業の輸出攻勢について批判的な発言を行っていることを考えると、貿易交渉では譲らないというメッセージかもしれない。

 もっとも、こうした機微とはまったく無縁だった可能性も否定できない。安倍氏も外務省も本間ゴルフの現状について認識しておらず、純粋に日本製のゴルフクラブをプレゼントするつもりで製品を購入してしまったというパターンである。

 もしそうであれば、かなりの肩すかしということになってしまうが、それはそれで、とにかくトランプ氏との会談を早期に実現したかったという日本側の純粋さは伝わったかもしれない。もっとも外交の世界では、純粋さが功を奏することはあまりないのだが。

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