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カストロ議長が死去。キューバに厳しいトランプ大統領の誕生で両国関係はどうなる?

 

 キューバ革命を起こし、反米的な社会主義政権を50年以上にわたって率いてきたフィデル・カストロ前国家評議会議長が2016年11月25日に死去した。90歳だった。
 昨年7月、米国とキューバは歴史的な国交回復を実現しており、カストロ氏は両国の国交回復を見届けての死去となった。ただ米国の新大統領であるトランプ氏は、キューバに対して厳しい発言をしており、今後の展開は不透明だ。

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 カストロ氏は1959年にキューバ革命を起こして親米政権を打倒。以後、独裁者として50年以上にわたって社会主義政権を率いてきた。当時は米ソ冷戦の最中であり、カストロ氏は旧ソ連に接近。1962年にはソ連製ミサイルのキューバ配備を行い、米ソ核戦争の危機が一気に高まった(キューバ危機)。
 冷戦終結後もキューバの社会主義政権は維持され、高齢になったカストロ氏は2008年に実弟のラウル・カストロ氏に政権を移譲している。

 キューバは米国から厳しい経済制裁を受け、国民は苦しい生活を強いられてきたが、ここ10年で両国の関係は大きく変化した。米国はキューバからの移民がいなければ経済が回らない状態となっており、キューバ側も米国との関係強化を望むようになってきた。米国に住むキューバ人からの送金や米国人観光客がいないと貴重な外貨を獲得できないからである。こうした状況が最終的には国交回復につながったと見てよいだろう。

 米国内には人権弾圧を行っているキューバ政府とは安易に交渉すべきではないという声もあるが、オバマ政権は現実優先でキューバとの国交回復を前向きに進めてきたという経緯がある。
 ところが新しく大統領に選出されたトランプ氏は、選挙戦を通じてオバマ政権のこうしたスタンスを批判してきた。カストロ氏の死去を受けてトランプ氏は「自国民を迫害した残虐な独裁者が死去した。トランプ政権はキューバの人たちが自由を得られるよう全力を挙げる」と述べている。

 ただトランプ政権になったからといってキューバとの関係が逆戻りするとは限らない。トランプ氏は選挙戦序盤はキューバとの国交回復を評価する発言を行っており、キューバに対してどのようなスタンスなのか本当のところは定かではない。

 キューバは中南米諸国の中では文化水準が高く、米国の企業はキューバ進出を大きなビジネスチャンスと捉えている。ビジネスマン出身のトランプ氏もキューバのポテンシャルについてはよく理解しているはずだ。
 トランプ政権において経済界の意向が強く反映されることになればキューバの市場開放は予定通り行われていく可能性が高い。このあたりは実際に政権がスタートしなければ何とも言えないだろう。

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