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安倍首相の経済ブレーンである浜田宏一氏が、金融政策の誤りを認めたという話の虚実

 

 アベノミクスの理論的支柱と言われ、内閣官房参与を務めている浜田宏一エール大学教授が、金融政策の誤りを認めたという話が話題になっている。

 浜田氏が誤りを認めたとされているのは、11月25日に日本経済新聞に掲載されたインタビュー記事。その中で「デフレ脱却には金融政策だけでは不十分だったのか」という記者の質問に対し、浜田氏は「私がかつてデフレはマネタリーな現象だと主張していたのは事実で、学者として以前、言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない」と述べた。

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 浜田氏が言及しているのは、貨幣数量説的なデフレ解釈のことと考えられる。貨幣数量説とは、物価の水準は基本的に貨幣の量で決まるという経済学上の学説である。浜田氏など、現在の量的緩和策を支持する、いわゆるリフレ派と呼ばれる専門家は、基本的に貨幣数量説に立っている。
 物価の下落が貨幣の量が少なすぎることに起因するのであれば、貨幣を増やせばデフレを脱却できる。したがって量的緩和策でマネーを市中に供給すればデフレを脱却できることになる。

 現実には、浜田氏や日銀の黒田総裁も認めているように、当初はデフレ脱却に成功したかに見えたが、その後は、原油価格の下落や消費増税などによって思ったように物価が上がらなかった。
 純粋な貨幣数量説に立てば、原油価格といった個別の財の価格の変化によって全体的な価格水準が決まることはないはずなので、確かに解釈としては誤りだったということになる。浜田氏はそれを認めたということなのだろう。

 ただ、現実社会において、物価が個別の財の影響をまったく受けないということはなく、ましてや、金融政策だけが有効ということもあり得ないだろう。場合によっては需要を喚起したり、構造改革を実施しなければ、思ったような成果は得られないというのは常識といってよい。このあたりはリフレ派と呼ばれる専門家もよく分かっているはずだ。
 アベノミクスも当初は、金融・財政・構造改革をセットにした政策パーケージだった。しかし、いつの間にか、量的緩和策だけで景気回復ができるかのような論調に変わってしまった部分があることは否定できない。

 一部の識者は、今回の発言によって金融政策の誤りが証明されたと指摘する一方、リフレ派と呼ばれる人たちからは当然のことながら反論が出ている。インタビューでの発言がその通りであるならば、あくまでデフレはすべて貨幣現象であるという部分について誤りを認めたということであり、金融政策がすべて間違っていたという解釈は少々強引だろう。

 ただ、リフレ派と呼ばれる人の一部には、金融政策だけですべてを解決できるかのように説明していた人もいる。その点では、現行の政策に反対する人たちに格好の反論材料を与えてしまったといえなくもない。

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