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もんじゅの検証が行われないまま、新しい高速炉の開発計画が着々と進行中

 

 政府は廃炉が予定されている高速増殖炉「もんじゅ」に代わる新しい高速炉を開発する方針を固めた。もんじゅには1兆円を越える国費が投入されたが、ほとんど運転を行わないまま、次の原子炉の開発に進む。

monju
 政府は2016年11月30日、新しい高速炉のあり方を議論する3回目の会合を開催し、今後の開発方針に関する骨子案を提示した。この中で政府は、核燃料サイクルを引き続き推進するとともに、新しい高速炉については2018年をメドに工程表を作成する方針を示した。

 これまで政府は、高速増殖炉の開発について、実験炉、原型炉、実証炉、実用炉の順番で段階的に進めていく方針を掲げていた。実験炉「常陽」は茨城県に建設され順調に稼働したが、原型炉として建設した「もんじゅ」は当初からトラブルが続いた。

 もんじゅは、臨界に達した翌年の1995年にナトリウム漏れ事故を起こして運転を停止。その後、別のトラブルも発生したことから、20年以上も運転を再開できない状態が続いている。政府はもんじゅについて廃炉にする方針を固めており、近く正式決定される見通しだ。

 もんじゅはほとんど運転を行っていないため、技術的な検証の多くが実施できていない。段階的に開発するという本来の趣旨に添って考えた場合、もんじゅを再稼働せずに実証炉の開発に進むことは困難である。
 ところが政府は、フランスが先行して開発を進めている高速炉ASTRIDからデータ提供を受けるとともに、実験炉として運転を行ってきた常陽の知見や、もんじゅの開発過程で得られた知見などを総合すれば、もんじゅを再稼働しなくても実証炉の開発は可能と判断した。

 政府はオールジャパンの体制で、世界最高レベルの高速炉を開発するとしているが、基本的なデータはフランスなど諸外国から提供を受けるよりほかなく、自主開発とは程遠い状況となる。

 政府は、仮にフランスなどからデータの提供を受けることができなくても実証炉の開発は可能としている。だがこの場合には設計に余裕を持たせる必要が出てくるため、経済性の検証を目的がである実証炉としては意味がなくなってしまう。
 もんじゅに続く実証炉の開発ありきでプロジェクトが進んでいることは明らかであり、これは本来の高速炉開発の趣旨からは逸脱している。もんじゅにはすでに1兆円の国費が投入された。トラブルに関する技術的な検証がないまま、次の開発に進むことはあってはならないだろう。

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