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安倍首相が真珠湾を公式訪問。だが日米同盟の意味はすっかり変わってしまった

 

 安倍首相は2016年12月26~27日、太平洋戦争のきっかけとなったハワイの真珠湾を訪問する。慰霊を目的に真珠湾を公式に訪問するのは、安倍首相が初めてであり、歴史的意義は大きい(吉田茂元首相の訪問については後述)。だが、これは戦後という枠組みがすでに歴史になってしまったのことの裏返しでもある。

sinjuwan

 今から75年前の1941年12月8日、旧日本海軍の空母機動部隊が、真珠湾に面する米太平洋艦隊の基地に奇襲攻撃を行い、これが太平洋戦争の始まりとなった。
 これまで日本の首相は、公式に真珠湾で慰霊を行うことはなかった。その理由は、真珠湾を慰霊の目的で訪問してしまうと、謝罪と受け止められる可能性があったからである。
 ちなみに、吉田茂元首相は1951年にハワイを訪問しているが、これはサンフランシスコ条約調印の際にハワイに立ち寄ったものであり、当時の日本はまだ正式に国際社会に復帰できていなかった。また軍幹部とのとの面会のため、真珠湾に面した海軍基地を訪問したということであり、首相による公式の慰霊訪問は安倍氏が初めてと考えて差し支えない。

 真珠湾攻撃は、米国人にとっては数少ない本土直接攻撃であり、非常に不名誉な歴史とされている。また太平洋戦争は日本側の手違いで宣戦布告が遅れたこともあり、一部の米国人は、真珠和攻撃は「だまし討ち」であると認識している。
 米国が事前に攻撃を知っていたのかということも含めて、真珠湾攻撃には様々な解釈があが、基本的に米国にとって真珠湾攻撃は非常に悪いイメージであり、一部の米国人は日本に対して強く謝罪を求めてきた。首相の訪問が控えられてきたのは、こうした理由からだ。

 今回、安倍首相の訪問が実現したのは、オバマ大統領が広島を訪れたことが大きく影響している。オバマ大統領の広島訪問については、米国内では賛否両論があった。それでも広島訪問が実現したのは、米国の中でも太平洋戦争がすでに過去の出来事と認識されつつあることが大きく影響している。安倍首相の訪問もこうした流れの延長線上にある。

 だが、これは戦後という国際社会の基本的な枠組みが、新しいフェーズにシフトしたと解釈することもできる。実際、トランプ新大統領は米国第一主義を掲げており、日本も含めた同盟国との協調関係をあまり重視していない。トランプ氏は真珠湾攻撃があった12月8日の前日、声明を発表しているが、そこで日米同盟に関する言及はなかった。

 一般的には、今回の真珠湾訪問は日米同盟をさらに強固なものにするとの位置付けだが、クールに捉え直せば、日米同盟のあり方が再定義されるきっかけと考えた方がよいだろう。

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