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深刻化する欧州の失業率。その中にあってオーストリアに失業者がいないワケとは?

 

 欧州の雇用がさらに深刻な状況になっている。フランス政府は27日、完全失業者が10月末時点で310万3300人となり、14年半ぶりの高水準になったと発表した。10%を超える失業率は当分続き、失業者数が減少に転じるには早くても2013年末以降になるという。

 だが深刻な状況が続くフランスやスペインなどを尻目に、ほぼ完全雇用に近い状態を維持している国もある。ゲルマン圏の工業国オーストリアである。

 オーストリアでは、失業率が4.5%とほぼ完全雇用の状態が継続している。その秘密は高付加価値型製造業の高い競争力と、柔軟性のある雇用システムである。
 オーストリアは、雇用主は理由の如何に関わらず自由に従業員を解雇できる。このため、従業員の雇用にリスクが少なく、思い切った採用が実施できる。一方労働者には手厚い職業訓練プログラムが適用されるため、たとえ解雇されたとしても、新しい技能を身に付け、次の職場をすぐに探すことができる。

 一方フランスは、日本と同様、従業員の解雇が原則として禁止されているため、企業はなかなか従業員を雇いたがらない。結果としてすでに雇用している高齢者の雇用だけが温存され、若年層に仕事が回らないという事態が生じている。
 フランスの25歳以下の失業率はなんと22%、これに対して50歳以上の失業質は7%未満である。オーストリアは移民の割合が高く、労働人口の12%を占めている。フランスは移民に否定的であり、労働人口の5%に満たないが、移民の失業率は20%と極めて高い。

 オーストリアと同様、北欧諸国も手厚い職業訓練プログラムを導入する代わりに、企業の解雇を容易にする措置を導入し成果を上げている。オーストリアや北欧は小国であるという事情は考慮する必要はあるが、これらの事例は、雇用を過剰に保護する政策は若年層にしわ寄せがいくだけの結果しかもたらさないことを如実に表している。

 日本はまさにフランスと同じような状態になっているわけだが、この状態を解消しようという動きはほとんど見られない。時期衆院選が迫っているが、若年層の雇用が大きな政治問題にならないのは由々しき事態である。

 - 政治, 経済

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