ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

日本の製造業が大ピンチ。三菱と東芝はすでに満身創痍、日立は比較的身軽だが・・・

 

 日本の重電・重工メーカーが岐路に立たされている。三菱重工は日の丸ジェットであるMRJについて、とうとう5度目の納入延期を示唆した。一方、東芝は米国原子力事業に関して2期連続で巨額赤字を計上する可能性が高まっている。国内の原子力事業については、三菱、東芝、日立の3社による統合計画が持ち上がっているものの、各社の思惑が絡み、事態はなかなか進展しない。

juko3sha

 MRJは初飛行にはこぎ着けたものの、これまで4度、納入延期を繰り返してきた。新規開発に納期の遅れはつきものだが、これ以上、納期が遅れると、ライバルであるエンブラエル社の新型機と競争する形になり、ビジネス的には非常に苦しくなる。その意味で5回目の納入延期を回避できるかは、MRJの将来を占う試金石だった。

 結局、納入の再度延期がほぼ確実となり、ビジネス的にかなり厳しい状況に追い込まることが確実となった。三菱は大型客船事業でも特損を計上しており、同分野からの撤退を発表している。このままではMRJにおいても開発費を回収できない可能性が高く、財務的な負担は増すばかりである。

 それだけではない、中核事業のひとつであった原子力分野にも暗雲が垂れ込めている。同社が深く関与した高速増殖炉もんじゅは正式に廃炉が決定。後継炉の開発が発表されたものの、フランスの技術に依存する形となり、はっきりとした道筋は描けない状況に陥っている。同社は次世代の高速炉技術を持つフランスの国策原子力企業アレバに出資をしたが、これがどの程度、功を奏するのかは現時点では不透明である。

 政府は、これと前後して、国内の原子力事業の統合を模索しているが、各社の調整は進んでいない。日立、東芝、三菱重工の3社は燃料事業については統合を目指して調整を進めており、来年春の実現を目指している。だが、燃料事業だけでなく本体への統合となると各社の利害が大きくぶつかることになるため、話はそう簡単には進まない。

 そもそも、日立・東芝と三菱では原子炉の型式が異なる上、東芝は国内では日立と同型式、米国では三菱と同型式とバラバラな状況となっている。しかも東芝の米国原子力事業は2期連続で巨額損失を計上する可能性が高く、再び経営危機が囁かれる状況だ。
 このほか国内では廃炉問題や再稼働問題などが山積みとなっており、各社とも政治的な問題には深くかかわりたくないというのがホンネである。政府がよほどの音頭を取らない限り、統合は進まないだろう。

 3社の中でもっとも身軽なのが日立である。実は重電分野はIoT(モノのインターネット)革命が進行中であり、ここ数年でグローバルな業界秩序が激変する可能性が高い。
 この分野をリードしているのは、GE(ゼネラル・エレクトリック)とシーメンスのトップ2社。日本勢はすでにIoTの分野で出遅れており、かなり不利な状況にあるが、この中で日立がどこまで独自色を出し、GEやシーメンスに追いつけるのかが注目される。東芝と三菱にしてみれば、IoTといった未来の話よりも、目先の問題で手一杯というのが現実かもしれない。

 - 経済 , , , , , ,

  関連記事

bouekitoukei 201411
11月の貿易収支は円安と原油安の相乗効果で赤字幅縮小

 財務省は2014年12月17日、11月の貿易統計を発表した。輸出額から輸入額を …

marugen
丸源ビルのオーナーが検察を徹底批判。死んだら全財産を国に寄贈の考えは変わったか?

 銀座などの歓楽街で「丸源ビル」を展開する不動産グループの経営者で、脱税容疑で逮 …

machikado
景気の現状分析。アベノミクスは個人消費を刺激しているが、製造業は依然厳しい状況

 アベノミクスによる株高で日本経済に対する期待感が広がっているが、足元の景気の実 …

shirakawae
白川総裁も脱力?大企業の社長さん!成長戦略の意味を根本的に誤解してませんか?

 総選挙の結果をうけて日本経済新聞が実施した大手企業経営者に対するアンケート調査 …

seiyujo02
政府による上からの構造改革がスタート。弊害はないのか?

 茂木経済産業大臣は2014年6月10日、石油業界の再編を促すため、産業競争力強 …

googleio2015
グーグルがスマホ向けの新OSを公開。人工知能が強化され、利用者の状況把握がさらに進展

 米グーグルは2015年5月28日、スマホ向け基本ソフトの新製品である「アンドロ …

r&d
知識産業化を背景に米欧でGDPの新基準導入が進む。日本は2016年がメド

 米政府は2013年からGDPの計算方法を見直す。これまで費用として処理していた …

noma
「世界一のレストラン」で食中毒。だが顧客にまた食べたいと言わせる料理の中身とは?

 世界最高のレストランとして有名なデンマークの「NOMA(ノーマ)」で、ノロ・ウ …

tulip
欧州では移住する農業従事者が増加中。そう簡単ではない農業の競争力強化

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の閣僚会合で日米は合意に至らず、結論は再 …

ichimanen
財政再建目標に債務GDP比を併記?その本当の狙いは公共事業

 政府の財政再建目標をめぐる議論が活発になっている。これまで国際公約として掲げて …