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トランプ氏が国境税に言及。米国は超大国なので意外と効果を発揮する可能性も

 

 トランプ次期大統領は2017年1月11日、選挙後初の記者会見を開催した。各国の市場関係は固唾をのんで会見を見守っていたが、注目された経済政策の詳細は明らかにされなかった。ただ、トランプ氏は国境税について言及するとともに、ツイッターでも関税強化を示唆する発言を行った。何らかの形で保護貿易的な政策が実施される可能性が高まっている。

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 トランプ氏は会見で「国境を越えてアメリカで売ろうとすれば、高い国境税を支払うことになる」と述べ、輸入品に対して関税をかける可能性を示唆した。トランプ次期政権では、このほかにも輸出企業の税負担を軽くするような税制改正を検討しているという。

 一般的に、自由貿易が行われていると、輸出振興策や財政出動といった景気刺激策は国際間の資本移動によって相殺され、その効果が半減するとされている。トランプ氏は詳細には触れなかったものの、経済政策の柱として大規模な財政出動を検討している。財政出動が行われた場合、景気は拡大するが、同時に金利も上昇する。
 金利が上昇するとドル高が進み、輸入が増えて、輸出が減少するためGDP成長にはマイナスの効果となり、財政出動の効果を抑制してしまう。この話は保護貿易に経済合理性ないことの根拠としてよく引き合いに出されるものだ。

 だがこの話は小国経済の場合にはよくあてはまるが、突出した規模を持つ超大国の場合には状況が変わってくる。現代社会において完全な鎖国は不可能だが、米国のような国は、他国と比較して経済規模があまりにも大きいため、閉じた経済圏として振る舞うことが可能となっている。

 米国が、財政出動と関税や輸出振興策を同時に実施しても、場合によっては好景気を維持できる可能性が出てくる。もちろんこれは、程度問題であり、保護貿易が行き過ぎればマイナスの影響が大きくなってくるだろう。

 財政出動はかりに議会の協力を得られたとしても、実施までに時間がかかるが、関税や輸出振興については法律さえ通せばすぐに実現できる。そうなってくると、当初は保護貿易によって経済成長にブレーキがかかるものの、その後は、財政出動が効果を発揮することで成長スピードが高まるというシナリオが濃厚となってくる。

 もっとも、一連の経済政策を米国が実施した場合、各国の共存共栄は望めない。強いアメリカがますます強くなるという流れであり、まさにアメリカファーストという結果になるだろう。短期的には米国経済の成長という果実があるが、長期的には新興国を中心に世界経済の不安定化というリスクを抱え込むことになるかもしれない。

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