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英国がEU単一市場からの撤退を表明。予想の範囲内だが、今後の交渉は難航か?

 

 英国のメイ首相はEU(欧州連合)からの離脱をめぐり、EU域内の単一市場から完全に離脱する方針を明らかにした。移民制限や司法権独立などを優先する。ある程度、予想されていたことではあるが、実質的にEUに残留するという選択肢はなくなった。

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 メイ氏は2017年1月17日、EUからの離脱交渉に関する政府の方針について演説した。この中でメイ氏は「EU域内での単一市場にとどまることはできない」と述べ、単一市場からの撤退を明言した。EUとはあたらな自由貿易の締結を目指すという。

 当初、英政府はEU離脱の影響を最小限にとどめるため、移民の流入を制限しながらも単一市場アクセスを維持する方向で交渉を進める腹づもりだった。だがEU側としては、こうした例外を認めてしまうと、離脱ドミノが発生する可能性があるため容易には妥協できない。このためEUとの交渉は難航するとの見方が大勢を占めていた。

 英国内では、単一市場へのアクセスを犠牲にしても移民規制を優先させるべきという、いわゆる「ハード・ブレグジット」論と、単一市場へのアクセス維持を目指す「ソフト・ブレグジット」論が対立していた。最終的にメイ氏は、独立派を中心にEUに対する反発が強いことやEU側の姿勢が強硬であることを考慮し、単一市場へのアクセスは断念した。

 その代わり、メイ氏はEUとの間であらたな自由貿易協定を結ぶとしている。EU側も英国市場の存在は魅力的なので何らかの妥協が図られる可能性が高いが、交渉が難航し、長期化するのは必至とみられる。
 今回の決定はある程度、予想されていたことであり、市場にはそれほどの混乱は発生していない。短期的には大きな動きはないと考えられるが、EUとの交渉が難航するような状況となった場合には、英国に拠点を置く企業の欧州シフトが発生する可能性がある。

 また今回の英国の決定は、長期的に見た場合、経済のブロック化を進めるきっかけとなる可能性もある。トランプ次期大統領はアメリカファーストを掲げ、自由貿易よりも国内雇用を優先する方針を打ち出している。米国の保護主義が本格的なものだった場合、各国は米国という世界でもっとも魅力的な市場を失うことになる。

 そうなった場合、英国はカナダやオーストラリア、ニュージーランドといった英連邦圏国家との通商協定を強化する可能性が高くなってくる。結果的に米国、英連邦、EU、中国という4大経済ブロック圏が出現することも十分に考えられる。
 今回の英国の決断そのものは規定路線ではあるが、長い目で見た場合、大きな転換点となっているのかもしれない。

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