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IMFが最新の経済見通しを発表。トランプ経済についてはプラス・マイナス両方

 

 IMF(国際通貨基金)は2017年1月16日、世界経済見通しの改定値を発表した。2017年の世界経済の成長率予測は、物価変動の影響を除いた実質でプラス3.4%となり、前回の見通しを据え置いた。トランプ政権の誕生で、中長期的に米国経済が成長する余地が大きくなると判断したものの、保護貿易的な政策によって効果が相殺される可能性も考慮した。

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 IMFでは毎年4月と10月に世界経済の見通しを発表しているが、7月と1月に見通しの改定値を出している。今回の発表は2016年10月における見通しの改定値ということになる。

 今回の最大の注目点はIMFがトランプ政権の経済政策をどう評価するのかという部分であった。現在、世界経済は米国が牽引する構図になっており、米国の成長率見通しは世界経済全体の見通しに大きな影響を与える。
 米国の2017年の成長率見通しはプラス2.3%と前回よりも0.1ポイント上方修正された。トランプ政権が計画している総額1兆ドルのインフラ投資が短期的にも、長期的にも経済成長に効果を及ぼすと判断した。

 ただ、トランプ氏が掲げる保護主義的な政策はマイナス要因であり、場合によってはインフラ投資の効果を相殺する。利上げのスピードが加速することも成長の抑制要因になるとしており、2017年の成長率ついては0.1ポイントの増加にとどめた。これに加えてブラジルやメキシコといった新興国の経済が打撃を受ける可能性も高まっている。

 この結果、2017年の世界経済の成長率は3.4%となり、前回予想を据え置く形となった。ユーロ圏はプラス1.6%と0.1ポイントの上方修正だが、金融危機の懸念があるイタリアは0.2ポイント下方修正された。スペインは前回より0.1ポイント上方修正となりプラス2.3%、フランス、ドイツはともに0.1ポイントの上方修正である。
 EUからの離脱を決めた英国は2017年はプラス1.5%、2018年はプラス1.4%と落ち着いた数字を見込んでいる。EUとの交渉推移を見守るということだろう。

  日本は円安の効果から0.2ポイント上方修正されたが、2017年はプラス0.8%、2018年はプラス0.5%と伸び悩みが続く。中国はプラス6.5%と前回より0.3ポイント上方修正された。中国政府はとりあえず経済のコントロールに成功しており、今のところはクラッシュは起こらず、安定的に推移すると予想している。大幅なマイナスが続いていたロシアが、ようやくプラス成長に転じる一方、インド、ブラジル、メキシコなどは軒並み下方修正となった。

 トランプ氏の経済政策の効果を織り込みつつも、保護貿易的な政策のマイナス要素も考慮に入れた形であり、今の時点ではかなり現実的な予測といってよいだろう。現在の市場はトランプ政権の経済政策を織り込み過ぎているものの、それほど大きな反動もないかもしれない。

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