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東芝が持ち株会社化を検討との報道。情報開示レベルが低下する懸念も

 

 経営危機が囁かれる東芝が持ち株会社への移行を検討しているとの報道が出ている。持ち株会社化で経営判断を迅速にするというのが目的だが、投資家からは懸念の声が聞かれる。持ち株会社化されてしまうと、情報開示のルールが変わり、事業会社における重要な情報が開示されなくなるリスクがあるからだ。

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 東芝は米国の原子力事業で多額の損失を抱えており、その金額によっては債務超過に陥る可能性がある。一部からは事業の解体が必要との声も出ているが、状況は流動的だ。そのような中、持ち株会社化を検討との報道が出ている。分社化を検討しているメモリ事業、原発事業、その他の事業を持ち株会社の傘下に収める案が検討されているという。

 持ち株会社への移行というと聞こえはよいが、持ち株会社を作ったところで経営状況が変わるわけではない。しかも持ち株会社化した場合、投資家にとっては不利になることが多い。情報開示のルールが変わり、事業会社における重要情報が開示の対象から外れる可能性があるのだ。

 例えばテレビ局は、ほとんどが持ち株会社制に移行したが、現実にはテレビ事業が売上高のほとんどを占めており経営実態は変わっていない。しかし、持ち株会社の傘下にあるテレビ事業の子会社はあくまで子会社なので、以前より詳しい情報を開示する必要がない。このため、テレビ事業の透明性は以前より低下した。
 外食産業などでも、持ち株会社に移行すると既存店売上高などに関する詳細情報を開示しなくなるケースがある。

 東芝の場合、どのような形態の持ち株会社になるのか分からないので、現時点では何ともいえないが、少なくとも投資家から見た場合には、情報開示のレベルが下がることはあっても上がることはないだろう。

 日本では、組織や制度をいじることを改革だと考える風潮が強く、これが問題解決を先送りしてしまうケースが多い。組織は戦略に従うという有名な経営学の言葉があるが、組織や制度は、基本戦略が確定すれば自動的に付いてくるものであって、組織を変えることで戦略が生まれるわけではない。

 会社の存続が危ぶまれるこのような状況において、組織論の話が出てくるという状況を考えると、東芝はまさに末期症状なのかもしれない。

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