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豊洲市場のトータルコストが初めて明らかに。維持管理費は築地の約5倍になる見込み

 

 東京都は2017年1月25日、移転問題が議論されている豊洲市場に関する収支予想を公表した。施設の運営にかかる費用(水道光熱費など)は現行の築地市場の約5倍となっており、かなりの高コスト体質であることが明らかとなった。地下水の汚染が予想よりも深刻である可能性も出てきており、豊洲移転は微妙な情勢になってきた。

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 オフィスビルや物流センターなど、いわゆる業務用施設は建設費に加えて多額の維持管理費が必要となる。民間企業では、施設を利用するすべての期間を念頭に総コスト(ライフサイクルコスト:LCC)を算出し、経済合理性について検討するのが一般的である。

 だが官庁会計には減価償却やライフサイクルコストという概念はなく、東京都はこうした試算を行ってこなかった。総合的なコストという点では今回の試算が初めてということになる(ただし建物の解体費用などは考慮されていない)。

 築地市場は温度管理システムなどが導入されていないため、水道光熱費といった一般的な維持管理費は年間約16億円であった。ところが豊洲の場合には約5倍の77億円が必要であることが明らかとなった。修繕費などの経費を加えると年間100億円の支出となり、建物の減価償却を考慮すると166億円の経費がかかる。

 一方、豊洲市場は施設使用料を徴収することで収入を得ることができるが、この金額は年間約68億円と試算されている(築地は約50億円)。収支から支出を差し引いた営業損益は年間約100億円の赤字ということになる。
 仮に減価償却を考慮に入れない場合には年間約30億円の赤字となるが、市場会計全体としては他市場の収益から赤字を補填できるのでギリギリで収支は均衡すると説明している。

 減価償却分については、官庁会計上はすでに支出済みの経費なので一種の埋没コスト(サンクコスト)と見なすことは可能だが、築地と比較した場合、定常状態で5倍のコストがかかるということだけははっきりした。温度管理など新しいシステムを導入したことの効果とコストの見合いをどう考えるのかという部分がポイントになるだろう。

 また、最新の地下水モニタリング調査では基準値の79倍という高濃度のベンゼンが検出されており、土壌汚染についても予想以上に深刻な状況である可能性も浮上してきた。環境汚染については、単純に経済合理性だけでは割り切れない部分があるため、問題をより複雑にすることになる。

 最後は政治決断ということになるが、場合によっては豊洲移転中止という選択も十分に考えられる状況となってきたようだ。

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