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米国産LNGが日本に到着。エネルギー調達の多角化は進むのか?

 

 硬直的だった日本のエネルギー調達に変化の兆しが見え始めている。きっかけになったのは米国のシェールガス革命。米国がエネルギー輸出解禁に舵を切ったことから、安価な米国産LNG(液化天然ガス)の輸入が可能となった。日本はこれまで国際相場をはるかに上回る高い価格でLNGを購入させられてきたが、こうした状況を打開できる可能性が見えてきた。

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  米国からLNGを購入したのは東京電力と中部電力の合弁会社JERA。同社は米シェニエール社とLNGの調達契約を締結しており、昨年12月7日にシェニエール社が運営するルイジアナ州の基地からLNGタンカーが出航。今年の1月6日に中部電力上越火力発電所に到着した。アラスカ産を除けば、日本が米国産LNGを輸入するのは初めてのことになる。

 日本はよく知られているように世界でも指折りのLNG輸入大国である。火力発電所の燃料用途を中心に2015年度には約4兆5000億円のLNGを輸入している。原油の輸入金額は約7兆4000億円であることを考えると、LNGは原油に匹敵する重要性を持つ。

 とこが日本は国際的に見ても異常な高値でLNGを買い続けていることでも知られている。最近の日本におけるLNG価格は100万BTU(英式熱量単位)あたり約9ドルだが、欧州は約5ドル、米国は約4ドルというのが標準的。福島第一原発事故の直後は、日本がLNGの輸入を増やすとの思惑からさらに価格が急騰。一時は18ドルという高値での取引を余儀なくされていた。

 日本向けのLNG価格が高かったのは、日本に価格交渉力がなかったことが最大の原因。日本はオイルショック後、原油に依存しないエネルギー源の確保に迫られ、コストを考えずに原油価格連動方式でLNGを長期契約した。この慣行が今まで継続したことで価格が高止まりしていた。

 こうした状況を変えるきっかけとなったのが米国のシェールガス革命である。米国は安全保障上の理由からこれまでエネルギーの輸出を規制してきたが、米国がサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国に転じたことで状況が変わった。
 米国は、国内で消費するすべてのエネルギーを自給することが可能となり、米政府は余剰エネルギーについて輸出を許可する方針に転じた。今回、日本が輸入したのは、これによって輸出が許可されたLNGである。

 カタールやオーストラリアなど日本に天然ガスを輸出してきた国々は、これまで日本側からの交渉に応じることはなかったが、米国が安価なLNGを定常的に供給するということになれば話は変わってくる。両国が簡単にLNG価格を引き下げることは考えにくいが、交渉材料を手にしたという意味は大きいはずだ。

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