ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

東芝がメモリー事業分離を決定。だが、市場の注目はすでに次の売却事業へ

 

 米国の原子力事業で多額の損失を抱える東芝が、メモリー事業の分社化を決断した。しかし、これだけで同社の財務が健全化する可能性は低く、同社は今後も事業の切り売りを迫られるとの見方は根強い。市場ではPOS事業などを手がける東芝テックなどに注目が集まっている。

toshibassd

 同社の米原子力事業は大型プロジェクトの失敗などで多額の損失を抱えている。金額は現在、精査中だが7000億円に達するとの見方もある。2016年9月末時点における同社の自己資本は3600億円なので、損失額によっては債務超過に陥る可能性も否定できない。

 事態を打開するため東芝は2017年1月27日、数少ない収益事業であるメモリー事業を分社化する方針を明らかにした。分社化の対象となるのは、NAND型フラッシュメモリーと、同メモリーを使用したSSD(ソリッドステートドライブ)事業の2つ。
 NAND型フラッシュメモリーはデータの書き込みと消去が可能は半導体で東芝が開発した。電源を切ってもデータが消失しないことから、スマホの記憶媒体やUSBメモリーなどで多用されている。また、フラッシュメモリーを搭載したSSDは、ハードディスクドライブ(HDD)よりも高速に読み出しが出来ることから、パソコンやサーバーの記憶装置としての需要が増加中だ。

 メモリー事業の2015年度における売上高は約8500億円で、約1100億円の部門利益を上げている。東芝では数少ない収益事業であり、買い手には事欠かない。分社化と外部資本の導入はスムーズに進むだろう。だが問題はその後である。

 原子力部門の損失をすべて穴埋めするには、メモリー事業の大半を手放す必要があるが、今のところ同社では外部資本比率を2割程度にしたい意向を示している。そうなると財務的な手当ては十分ではなく、同社は追加の事業売却を迫られる可能性もある。

 ただ、原子力とメモリーという中核事業を失った今、同社にめぼしい事業は残されていない。メモリー分社化後は、エレベーターなどの社会インフラ部門、POSシステム事業、メモリー以外の半導体事業といった構成になる。
 この中でPOSシステム事業は、東芝テックという子会社が担当しており、同社は株式市場に上場している。本体事業との関連も少なく、独立事業としての色彩が濃い。メモリー事業の外部への資本放出を拡大するか、こうした連結子会社の事業売却がさらに進む可能性は高いだろう。

 - 経済 , ,

  関連記事

sony
ソニーが業績見通しを大幅上方修正。だが実態は不動産の売却益

 ソニーは4月25日、2012年度(2012年4月~2013年3月)の業績見通し …

francisco1
排他的になると逆に伝統文化はダメになる。日本人が傾聴すべきローマ法王の説法

 伝統的な価値観を守るためには、新しい価値観を攻撃するのではなく、うまくバランス …

casino
カジノ解禁をめぐって依存症の問題が急浮上。だが本質はそこではない

 現在、政府内部で検討が進むカジノ解禁をめぐって、ギャンブル依存症に関する話題が …

bananki
バーナンキ議長は実は市場のことを分かっていなかった?緩和縮小見送りに関する新情報

 9月からの量的緩和縮小という市場のコンセンサス180度ひっくり返し、市場に衝撃 …

factory01
米欧中で製造業の景況感改善がより鮮明に。米国依存の日本にとっては朗報

 米国政府の一時閉鎖問題によって世界経済が揺れているが、足元の景況感を示す指標は …

nyse
ダウ平均株価の銘柄が久々に大型入れ替え。米国の産業構造は今後どうなる?

 米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズは9月10日、ダウ工業株30種(いわゆ …

abe20140220
政府内部で法人税減税の議論が始まる。問題の本質は課税ベースの拡大にあり

 政府内部で法人減税に関する具体的検討が始まった。経済財政諮問会議2014年2月 …

sharp
シャープの増資は政府による資産買い取りとセット?史上最大のモラルハザードの可能性

 シャープが検討している公募増資は、政府による資産買い取りとセットである可能性が …

no image
遺伝子組み換え食品に発ガンの可能性と仏が報道。米モンサント社への攻撃か?

 遺伝子組み換え飼料で飼育されたラットは、通常のラットに比べて早く死に、ガンにな …

abeshouhizei
消費増税の正式決定で焦点は5兆円の経済対策の中身とその効果に移行

 政府は10月1日、閣議を開催し2014年4月から消費税を8%に引き上げることを …