ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

トランプ政権のインフラ投資に日本の公的年金を活用との報道。政府は否定しているが・・・

 

 トランプ政権が掲げる総額1兆ドル(約113兆円)のインフラ投資について、その一部を日本の公的年金が担うとの報道が出ている。2017年2月10日に予定されている日米首脳会談で日本側が提案するという。安倍首相は否定しているが、公的年金による海外インフラ投資は以前から検討されていたテーマであり、場合によっては投資が実施される可能性もゼロではない。

abetoranpu

 トランプ大統領は総額1兆ドルという巨額のインフラ投資を公約として掲げている。ただ共和党主流派の中には、大規模な公共事業に対して懐疑的な意見もあり、全額が予算として成立するのかは微妙な状況となっている。
 トランプ氏の公約と、小さな政府という共和党の主張の折衷案として浮上しているのが、民間資金の活用である。政府が直接、投資を行うのではなく、民間がファンドを組成し、そこに政府が融資を行うというスキームが取り沙汰されている。

 一方、安倍政権はトランプ氏が日本の貿易政策について批判を強めていることから、日米首脳会談において日本側から魅力的な提案を行い、交渉材料にする必要に迫られている。米国インフラ投資への資金拠出はこうした流れで浮上してきたものと思われる。

 もっともこの報道に対して安倍首相は「政府として検討しているわけではない」と発言。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も否定している。GPIFのルール上、政府が運用先を指示することはできないので、日米首脳会談を前提にこうした投資を検討するということは理屈上、あり得ないことになる。

 だがGPIFは以前から国内株に代わる運用先として、海外のインフラ投資を検討してきた。2014年10月に発表されたGPIFの運用見直し案では、全体の5%を上限にオルタナティブ投資に資金を配分する方針が示されており、その中には海外のインフラ案件が含まれている。

 ただインフラ投資は市場で売買される金融商品ではないため、流動性が低く、ひとたび投資してしまうと換金することは容易ではない。またプロジェクトが長期にわたるため、投資の妥当性に関する評価も、ある程度は、不確実性を織り込む必要が出てくる。一般的な投資案件よりも高いリターンが得られなければ、投資するメリットは少ないだろう。

 米国は大型のインフラ投資が実現した場合、継続的な成長が見込みめることに加え、一連の経済政策はドル高をもたらす可能性が高い。日本からの投資という点では魅力的な対象になる可能性もある。

 現在のGPIFは、すでに大量の日本株を購入済みであり、それほど投資余力があるわけではない。今やGPIFは日本企業の大株主であり、銘柄の入れ替えのために株を売却すれば、それ自体が株価の下落要因になってしまう。仮に米国のインフラ投資に拠出するにしても、大きな金額は難しいだろう。

 ただ、国内にはゆうちょ銀行という最後の砦がある。同行の運用資金や顧客基盤を活用すれば、数兆円の追加投資は不可能ではない。だが、ここでゆうちょ銀行の資金を使ってしまえば、日本国内にはもはや虎の子の資金は存在しないことになる。

 - 政治, 経済 , , ,

  関連記事

no image
スペインに工場を移管するメーカーが続出。理由はコストの安さと政府の労働市場改革

 財政危機によって大打撃を受けたスペインだが、労働者の賃金が大幅に低下したことで …

pfi
PFIが成長戦略の中核として急浮上。だがその実態はハコモノ行政の維持

 政府の成長戦略における中核的プランとして、民間資金を活用したインフラ整備(PF …

toyota201603
トヨタが営業利益40%減の業績見通し。実は販売台数が年々減少しているという事実

 トヨタ自動車は2016年5月11日、2016年3月期の決算を発表した。予想通り …

abccook
携帯電話登場から約30年。ドコモとソフトバンクの立場は180度変わってしまった

 NTTドコモとソフトバンクの戦略の違いが鮮明になってきている。2013年9月の …

nichigin03
国債市場の大混乱は日銀官僚による黒田総裁への嫌がらせというのは本当か?

 日銀による「異次元」の金融緩和策は国債市場の大混乱をもたらした。緩和策発表翌日 …

manshon
銀行が住宅ローン金利を引き下げ。融資先が見つからない銀行の苦しい台所事情

 9月に入って金融機関による住宅ローンの引き下げが相次いでいる。三菱東京UFJ銀 …

kokusaishushi201310
10月の国際収支で見えてきた慢性的な経常赤字への道。日本はどうすべき?

 財務省は2013年12月9日、10月の国際収支を発表した。最終的な国の利益を示 …

shudempsey
デンプシー米統合参謀本部議長が習近平氏と会談。米中のアジア戦略交渉がスタート?

 中国の習近平国家主席は4月23日、中国を訪問している米国のデンプシー統合参謀本 …

obama00002
財政の崖をギリギリで回避。だがマーケットはとっくに織り込み済みで驚きはなし

 オバマ大統領と与野党の指導部は、いわゆる「財政の崖」の回避に向けた協議でほぼ合 …

apple
注目のアップル四半期決算。減益となった最大の理由は利益率低下と研究開発費の増加

 米アップルは4月23日、注目の第2四半期決算(2013年1月~3月期)を発表し …