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東芝の債務超過が確定。だが、この期に及んでも正式な決算は発表できず

 

 東芝が債務超過に陥っていることがほぼ確定的な状況となった。唯一の大型収益事業である半導体事業の多くを手放さない限り、自力での存続は不可能となりつつある。しかも、この期に及んでもまだ正式な決算を確定できておらず、会社としての基本機能を維持することもままならない状況だ。

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 東芝が債務超過に転落している可能性が高いというのは以前から指摘されていたが、損失の元凶である原子力事業の実態について同社がなかなか公表しないため、市場では正確な数字を確定できずにいた。

 2月14日に発表した2016年4~12月期決算は4999億円の最終赤字となり、注目されていた米原子力事業の減損は7125億円だった。この損失によって2016年12月末時点の自己資本は1912億円のマイナスとなり、債務超過であることが確定した。

 現在、同社は経営再建を行うため、虎の子であるメモリー事業の分社化を進めている。メモリー事業は現在の東芝では唯一といってよいほどの大型収益事業で、すべてを外部に切り出せば1兆円以上の時価総額になるとの見方もある。

 当初、分社化による株式の外部放出は2割程度に抑えたい意向を示していたが、仮に1兆円の時価総額としても2000億円では債務超過分の穴埋めにしかならない。少なくとも3600億円程度の自己資本を保有していた2016年9月末時点の水準まで財務体質を戻す必要がある。そのためには、メモリー事業の過半数を放出するか、東芝テックなど上場子会社の売却をさらに進める必要があるだろう。

 もっとも、今回の債務超過がこの水準で収束するかどうかは分からない。今回、発表された数字はあくまで見通しであり、監査法人による監査を受けた正式な決算ではないからだ。場合によっては、損失額がさらに拡大する可能性も否定できない状況だ。

 この期に及んで決算を確定できないというのは、常軌を逸しており、本来であれば大きな騒ぎになっていてもおかしくない。だが同社は、もはや「まとも」な会社とは見なされておらず、今回の正式決算見送りについても憤りの声は少ない。

 ただ、このような会社を存続させているという事実は、長期的に見て、日本の資本市場に深刻なダメージを与える可能性が高い。今回の東芝の一件で、先進国の投資ファンドの中には、日本市場を投資対象から外すことを検討するところも出てくるだろう。
 すぐにマイナスの影響が出てくるわけではないが、こうした状況は、将来、ボディーブローのように効いてくる。このツケを払うのは日本人自身であるということを忘れてはならない。

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