ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

調剤薬局の偽造薬問題。日本の医薬品行政はまともに機能していない

 

 C型肝炎治療薬の偽造薬が薬局チェーンで発見されるという、前代未聞の事件が発生したことで、日本の医薬行政に対する信頼が揺らいでいる。

nisegusuri

 厚生労働省は2017年1月17日、奈良県内の薬局でギリアド・サイエンシズ社が販売しているC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽物が発見されたことを明らかにした。同省が調査に乗り出したところ、いくつかのパターンの偽造薬が出回っていることが分かった。

 本物のハーボニー配合錠は、菱形でだいだい色だが、奈良県内で発見された偽造薬は薄い黄色で形状も異なっていた。成分を分析したところビタミン剤だったという。ほかにも、同じボトルの中に類似の医薬品であるソバルディと、紫色をした小さな錠剤が混在しているタイプも発見されている。この錠剤の成分は漢方薬だった。

 日本において医薬品の偽物が出回ることは、あってはならないことである。日本の医薬品に対する規制は厳しく、一般的な医薬品ですらネット販売が制限されている。こうした厳しい規制はややもすると、薬剤師や調剤薬局などの政治利権になりがちであり、実際、そのような面があることは否定できない。
 2012年にはネット事業者が市販薬のインターネット販売を規制したのは違法だとして司法の場で争い、最高裁は事実上、国側を敗訴とする決定まで下している。過剰な規制に対して司法までもが警鐘を鳴らす中、それでも一定の規制が許容されてきたのは、薬の安全性を担保するという大義名分があったからである。

 今回、偽造薬が発見されたのは、処方箋がなければ買うことができない調剤薬局である。高いコストをかけて担保していたはずの処方薬の流通ルートにいとも簡単に偽造薬が混入するようでは、日本の医薬行政は機能していないに等しい。

 今回の事件を受けて、厚労省は流通ルートの調査も進めているが、全体像はまだ把握できていない。現時点では、薬の流通ルートが極めて複雑になっており、卸業者が何回も転売を繰り返している実態が明らかとなっている。規制とは誰のためにあるのか、日本の行政のあり方そのものが問われている。

 - 政治, 社会 , ,

  関連記事

casino
カジノ解禁をめぐって依存症の問題が急浮上。だが本質はそこではない

 現在、政府内部で検討が進むカジノ解禁をめぐって、ギャンブル依存症に関する話題が …

monka
発達障害に関する文部科学省の調査。なぜか被災地域は調査対象から除外

 文部科学省は5日、全国の小中学校に通う児童生徒のうち、人とコミュニケーションが …

abe5gatsukeizai
萎む成長戦略。最高裁判断まで出ている薬のネット販売解禁が規制緩和の目玉だって?

 アベノミクスの要として市場から多くの期待を集めていた成長戦略の雲行きが怪しくな …

piketishasin
日本の所得上位1%が年収1300万円という識者の指摘は本当か?

 ピケティ・ブームが続く中、日本の所得上位1%は1300万円からという数字がネッ …

kuroda
日銀黒田総裁が消費税増税を肯定しなければならない理由

 日銀の黒田総裁は8月8日、金融政策決定会合後の記者会見において「脱デフレと消費 …

kinokuguo
注目を浴びるトリウム原子炉。だが足元では関連プロジェクトが後退している

 現在の主流となっているウランを使った軽水炉に代わって、トリウムを使った原子炉を …

abe201407
安倍政権が内閣改造へ。背景にあるのは来年の解散総選挙?

 安倍首相が内閣改造を実施する方針を固めた。集団的自衛権行使容認に関連する法整備 …

hatoyamagoten
鳩山元首相が引退を正式表明。巨万の富を持つ「クリーンな」政治家の功罪

 民主党の鳩山由紀夫元首相は21日、北海道苫小牧市で記者会見し、政界を引退するこ …

no image
ナイジェリアの公立学校で中国語教育始まる。国家覇権と言語は一体の関係

 中国が積極的に開発援助を行っているアフリカのナイジェリアで、公立学校における中 …

abe20150715
盤石の安倍政権に黄色信号。日本市場における政局リスクが徐々に顕在化

 日本の株式市場に政局リスクが浮上し始めた。内閣支持率が急落していることに加え、 …