ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

家計のエンゲル係数上昇がより顕著に。トランプ経済は日本にとって最後のチャンス?

 

 家計のエンゲル係数の上昇が顕著となっている。エンゲル係数の上昇には様々な要因があるが、最大の原因は日本経済の貧困化である。日本経済は依然として豊かさを維持しているという半ば願望を含んだ議論も散見されるが、正しい解決策を選択するためにも、現実を直視する必要があるだろう。

shokutaku

 総務省は2017年2月17日、2016年の家計調査の結果を発表した。家計の支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は、2人以上の世帯で25.8%となった。これは約30年ぶりの高水準である。

 エンゲル係数は生活の豊かさを示す指標として知られている。食料品には、生活を維持するための最低限度の支出水準というものがあり、嗜好品と比べて極端に節約することができない。生活が苦しくなってくると、家計支出に占める食料品の割合が増加するという傾向が見られることから、一般にエンゲル係数が高い方が貧しい社会とされる。だが、価値観が多様化した豊かな先進国の場合、この法則は当てはまらないケースも多い。

 残念なことに、日本の場合にはそのパターンはあてはまらない。家計の実質消費支出は3年連続でマイナスとなっており、家計が購買力を低下させていることは間違いない。実質賃金のマイナスが続き、実際に消費できる原資としての収入が減っているからである。
 収入が減り、その結果として消費が減少する状況においては、エンゲル係数の上昇は家計の貧しさを反映したものと解釈すべきだろう。

 ここ数年、エンゲル係数が急上昇したという点については、やはり円安の影響が大きいと考えられる。食料品は輸入されるものが多く、円安はそのまま輸入価格の上昇に直結する。加工品の場合にはタイムラグが生じるが、それでも、以前の為替水準と比較した場合、確実にコスト高につながる。

 13日に発表された2016年10~12月期のGDP(国内総生産)は、個人消費が横ばいで内需の弱さが際立つ。しかもトランプ政権の誕生で為替が円安に振れやすくなっており、輸入物価がさらに上昇する可能性もある。エンゲル係数にはまだ上昇余地が残っているかもしれない。

 日本は人口減少が進んでいるとはいえ、1億人以上の単一市場があり、本来であれば豊かな消費社会を構築できる潜在力がある。だが、市場環境があまりにも硬直化していることから、自律的な消費拡大を実現できていない。
 トランプ政権の経済政策が予定通り実施されれば、しばらくは米国景気に牽引され、輸出産業を中心に企業業績の拡大が期待できる。この間に、しっかりとした内需経済を確立できるかどうかで、今後の消費市場の動向が決まってくるだろう。日本にとっては最後のチャンスとなるかもしれない。

 - 経済 , ,

  関連記事

shirakawae
安倍首相が日銀に4月までに物価目標の道筋を付けるよう要望。困った日銀はどうする?

 政府は24日、首相官邸で3回目となる経済財政諮問会議を開き、金融政策と物価に関 …

tokyotower
経常収支が3ヶ月連続赤字。最後の頼みは直接投資増加だが、円安という大敵が・・・

 財務省は3月8日、1月の国際収支を発表した。経常収支は3648億円の赤字で、経 …

no image
為替市場で円高が進行。投資家の注目が「実質金利」に集中したことが要因?

 為替市場で円安が進んでいる。5日には一時、1ドル=109円台を付けるなど、1年 …

tokyowan
企業の設備投資予定額が大幅増。だが公共事業の影響も大きく継続性があるかは不明

 日本政策投資銀行は8月5日、2013年度の設備投資計画に関する調査結果を発表し …

nichigin03
国債市場の大混乱は日銀官僚による黒田総裁への嫌がらせというのは本当か?

 日銀による「異次元」の金融緩和策は国債市場の大混乱をもたらした。緩和策発表翌日 …

office
待遇がよい正社員ほど不満タラタラ。人材会社のアンケート結果が示す意外?な結果

 大手人材サービス会社のエンジャパンが自社サイトの利用者に対して行った、月収とそ …

furyokuhatuden
自民党がエネルギーミックスについて提言。原発をめぐってとりあえず玉虫決着

 自民党は2015年4月、2030年時点における電源比率を定める「エネルギーミッ …

kousai20130513
日米で金利が急上昇。米国は景気拡大を反映しているが、日本はどう解釈すべきか?

 日米で長期金利が上昇傾向を見せ始めている。米国の金利上昇についは、市場関係者の …

toshiba03
市場の予想通り、東芝の不適切会計は全社的な問題に拡大中

 東芝の不適切な会計処理が、当初の発表とは異なり、総額で2000億円規模に膨れあ …

abeseichou02
成長戦略に関する議論を大胆に整理してみると・・・・話は意外と簡単だった

 アベノミクスにおける3本目の矢である成長戦略の迷走が続いている。当初、成長戦略 …