ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

ようやく聞こえてきた、ふるさと納税制度に対する自治体からの異論

 

 ふるさと納税に対する異論が一部の自治体から出始めている。今のところ、税収が減ってしまった自治体からの不満というニュアンスが強いが、この制度に対しては、地方自治の根幹を揺るがしかねないとの指摘が当初から存在していた。そろそろ制度の見直しについて本格的に議論する必要があるだろう。

furusatonozei

 ふるさと納税は、任意の自治体に寄付をすると、その寄付金額の一部が、所得税や現在住んでいる地域の住民税から控除されるという制度。厳密には税金ではなく寄付行為ということになるが、住んでいる地域の課税が減免され、他の地域の歳入が増えるという現実を考えると、これは事実上の税金と考えてよい。

 地域の行政サービスについては、サービスを受ける人が税金を負担するという受益者負担の原則がある。しかし、ふるさと納税制度では、場合によってはサービスの受益者と納税者が別々になり、納税者間で著しい不公平が生じる可能性がある。
 税の公平性は民主国家における原理原則のひとつであることを考えると、ふるさと納税制度は本来はあってはならない仕組みということになる。一部の識者からは、制度の根本的な欠陥について指摘する声が上がっていたが「地方を応援」といった情緒的なスローガンにかき消され、ほとんど取り上げられることはなかった。

 制度に対する異論は、今のところ税収が減った自治体から出ている。東京都町田市はふるさと納税による控除額から市への寄付額を差し引くと4億円の赤字になるとの見通しを明らかにした。同市の石阪丈一市長は「制度にひずみがある」として政府に見直しを求めている。

 埼玉県所沢市は、返礼品の競争が過剰になっているとして、今年の3月末以降、ふるさと納税をした人への返礼品を廃止する。ふるさと納税の寄付者に対しては、地域の特産品をお礼として贈る自治体も多いが、この行為は徐々にエスカレートし、寄付金額を上回る返礼を行う自治体まで出てきていた。所沢市は、こうした過剰な競争は、制度の趣旨から逸脱していると主張している。

 地方に対する富の再分配は制度として厳密に議論すべきものであり、雰囲気で決めるようなものではない。ましてや返礼品をめぐって競争をエスカレートさせるなど、本末転倒である。制度の見直しに言及しているのはごく一部だが、それでも、こうした声が自治体から上がっていることは素直に評価すべきだろう。

 - 政治 ,

  関連記事

businessman02
平均給与は何と24年前と同水準。日本がひたらすら生産性を下げてきた理由は雇用維持

 アベノミクスで賃上げが期待されているが、足元ではまだまだ賃金減少が続いている。 …

orandoshukinpei
中国がチベット問題を黙認するオランド大統領に対して、最大級のもてなしを実施

 フランスのオランド大統領は4月25日、中国を訪問し、北京の人民大会堂で習近平国 …

misutoraru
ロシアがフランスからの揚陸艦購入を正式に断念。北方領土付近は現状維持へ

 ロシアがフランスから購入する予定だったミストラル級強襲揚陸艦について、ロシア政 …

no image
中国が今度は台湾野党の取り込み工作を本格化。日本はさらに厳しい状況に

 中国が台湾の取り込みに猛攻勢をかけている。これまで独立派として交流を行っていな …

gpifpotofori201506
公的年金の株式買い入れ余力が大幅に低下。今後の運用成績はどうなる?

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2015年8月2 …

lenovo
米国政府が中国製ITシステムの調達を制限。ただし完全な実施は困難との見方

 米国で中国製ITシステムの政府調達を制限する法律が成立した。3月26日に成立し …

no image
ミャンマーとの経済協力で日本は一歩リード。だが手放しでは喜べない

 民主化と経済開放が進みつつあるミャンマーとの経済協力について、日本が他国を一歩 …

orand
仏オランド大統領が掲げる反企業政策が早くも行き詰まり

 フランスのオランド大統領が掲げる「反企業政策」がはやくも行き詰まりつつある。 …

saiki
外務省の斎木次官が訪中。だが今のところ日中首脳会談開催のメドは立たず

 外務省の斎木事務次官は7月29日、中国を訪問し、中国外交部(外務省)の王毅外相 …

jutaku
米国の家計バランスシートが急激に改善。日本も株高で改善するのか?

 株式市場の上昇と不動産価格の底入れによって、米国における家計のバランスシートが …