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トランプ大統領の議会演説は想定通りで市場には安心感。ただ減税額は調整が必要か?

 

 トランプ米大統領は2017年2月28日、米議会において初の演説を行った。総額1兆ドルのインフラ投資について議会に法案成立を要請したほか、大規模な法人減税についても言及した。内容は概ね想定の範囲内で、市場には安心感が広がっている。

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 三権分立が明確になっている米国の場合、大統領には法律に基づく行政執行の権利しか与えられていない。予算についても、教書という形で議会に要望を伝えるのみで、最終的には議会が決定することになる。
 ただ現実には、議会も大統領の意思を尊重した形で法案の審議を進めることになるため、今回の議会演説には多くの関係者が関心を寄せていた。これまでトランプ氏が公約として掲げていたインフラ投資や大規模減税について明確な言及がなかった場合、関連法案が議会で審議されるのか不透明になってしまう。

 演説は概ね予想通りの内容であった。全体的なトーンとしては、雇用の海外流出に警鐘を鳴らし、国内における雇用や投資の拡大をうたっている。
 注目の経済政策としては、まず最初に減税について触れた。米国の税率は主要国の中でもっとも高いと指摘し、法人税の減税について検討するとした。ただ金額については言及がなく、どの程度の規模になるのか現時点では不明である。また、国境税と思われる言及もあったが、内容は抽象的で、実施にあたって不透明要素が多いことをうかがわせた。

 内容がもっとも具体的だったのはインフラ投資である。トランプ氏は民間と政府を合わせた総額1兆ドルのインフラ投資について、議会に法律を制定するよう求めた。これで1兆ドルという金額について、ある程度の確約が得られたことになる。

 大規模減税については、もし実施となった場合、最大で総額6兆ドルになるとの試算もあり、財源について調整が難航するとの見方もあった。比較問題としてインフラ投資の方が金額が小さいことから、政権としてはまずこちらを優先したものと思われる。

 市場関係者の中からは、大規模減税とインフラ投資が同時に実施された場合、金利が急騰したり、インフレが加速することを懸念する声も出ていた。まずは、インフラ投資が実現し、減税については減額された形で実施される方が、市場の安定という意味では好ましいとの見方もある。

 いずれにせよ、事前の予想と大きな違いはなく、1兆ドルのインフラ投資については、かなり確度が高まった。市場関係者の多くは、今回の演説をポジティブに評価するだろう。株式市場のトランプラリーはもうしばらく続く可能性が高い。

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