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サウジアラビアのサルマン国王が1000人を引き連れて異例の来日。背景には強烈な危機感

 

 サウジアラビアのサルマン国王が2017年3月12日、来日した。13日には安倍首相と首脳会談を行う。サウジ国王の来日は実に46年ぶりで、日本以外にも中国やインドネシアなど各国を歴訪する予定だ。同国がここまで外国訪問に力を入れているのは、脱石油の実現に関して強い危機感を抱いているからだ。

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  サウジアラビアはかつて世界最大の石油産出国だったが、米国でシェールガスの開発が進んだことから、原油産出量世界1位の座を米国に明け渡している。また、以前は1バレル=100ドルを超えてた原油価格が急落したことで、歳入の多くを石油の販売収入に頼る同国の財政が危機的状況となっている。

 昨年、同国はサウジ版の成長戦略ともいうべき「ビジョン2030」を発表し、石油依存経済からの脱却を打ち出した。目玉となっているのは国営石油会社であるサウジアラムコの改革であり、同社は株式の上場を予定している。また、ソフトバンクと共同で設立した10兆円ファンドも、こうした改革の一環といってよいだろう。

 国家運営が石油に依存し過ぎていることは、以前から問題視されており、これまで何度も脱石油を目指したプロジェクトが実施されてきたが、うまくいかなかった。
 サウジアラビアはサウド王家が支配する絶対君主制で、西欧民主国家でいうところの基本的人権というものは存在しない。その代わり、国民に税金は課されず、石油収入を活用した豊かな生活が保障されていたが、こうしたカルチャーを変えることは容易ではない。

 だが石油価格の大幅な下落による国家財政の窮乏化がこの国を大きく変えつつある。同国はとうとう、付加価値税(日本の消費税に相当)の導入を打ち出すとともに、これまでタダ同然で購入できたガソリンに対する補助の削減にも乗り出している。
 基本的人権が認められない中で、国民負担が増すことになると、王制に対する不満が高まる可能性がある。異例とも言える各国歴訪を実施した背景には、ビジョン2030を実現しなければ、体制の維持が難しくなるとの危機感がある。

 サウジアラビアは日本政府に対して、工場誘致など製造業分野での相互強力を望んでいるといわれる。また中長期的には省エネ技術や再生可能エネルギー分野での技術提携なども考えられる。豊富な石油販売収入を背景に、強気一辺倒だった同国が積極姿勢を見せていることは、日本にとって大きなチャンスといえる。

 - 政治, 経済 ,

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