ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

良好な米雇用統計で、3月利上げの確率がさらに高まる。資産縮小論の可能性も

 

 米労働省は2017年3月10日、2月の雇用統計を発表した。代表的な指標である非農業部門の雇用者数は前月比23万5000人増となり、市場予想を大きく上回った。
 FRB(連邦準備制度理事会)は利上げに対して前向きになっており、今回の雇用統計が良好だった場合、かなりの確率で利上げが実施されると多くの関係者が予想していた。23万5000人と市場予想を大幅に上回る数字だったことで、市場はさらに今月の利上げを織り込んだ。仮に利上げが実施されない場合でも、米国経済は加熱を警戒するフェーズに入ったとみよていだろう。

usakoyoutoukei201702

  イエレン議長は、これまで利上げについて慎重な姿勢だったが、トランプ経済に対する期待から金利が上昇したことを受けて、そのスタンスを変えつつあった。3月3日の講演では「次回会合で(利上げについて)判断する」とかなり踏み込んだ発言を行っている。米国では雇用者の増加が20万人を超えると好景気と見なされるが、2カ月連続で20万人を上回っており、労働市場が堅調に推移していることをうかがわせた。

 もっとも米国は先進国としては珍しく継続的に人口が増加している国であり、月平均20万人ずつ人口が増えている。就労者数が月あたり20万人増加するというのは、巡航速度であり、特別に景気が過熱しているわけではないとの見方もできる。
 ただ平均自給が前年同月比で2.8%増加したことや、失業率が4.7%とさらに改善していることなどを総合すると、労働市場は逼迫していると見た方が自然だろう。

 トランプ政権は、総額1兆ドルのインフラ投資と大規模な減税の実施を計画しており、もし、一連のプランが実行に移されれば、景気がさらに拡大する可能性が高い。しかも、国債の増発が避けられないことから、金利の上昇に弾みが付くことも考えられる。

  3月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げが決まれば、年4回という利上げペースも視野に入ってくる。場合によっては、FRBのバランスシート縮小の議論も具体化してくるだろう。ただ、ここまで来ると、利上げと資産縮小のダブルパンチとなり、景気の腰を折る可能性も否定できない。

 最終的にはトランプ政権の経済政策が、どのタイミングで、どれだけの規模で実施されるのかにかかってくる。結局のところトランプ氏次第であり、これがトランプ時代における金融政策の宿命ともいえるだろう。

 - 経済 ,

  関連記事

meti03
政府がM&A活性化で会計基準変更を示唆。だがこれは問題の本質ではない

 政府が企業のM&A(合併・買収)を活発化させるため、日本の会計基準を改 …

microsofthead
ダウは1万8000ドル回復だが、IT企業の決算が冴えず、投資家は依然慎重

 米国IT企業各社の決算が今ひとつの状況となっている。絶対値としてそれほど悪い数 …

no image
FRBがQE3実施を決定。バーナンキ議長が抱く真の野望が明らかに

 米連邦準備制度理事会(FRB)はとうとう量的緩和第3弾(QE3)に踏み切る。1 …

sharp
シャープがまさの赤字転落。だがこの事態は昨年からすでに予想されていた

 業績回復のメドが立ったと思われていたシャープに再び暗雲が漂っている。2015年 …

kikaiinsatu
設備投資の先行指標である機械受注が大幅減。7~9月期のGDPは大丈夫か?

 内閣府は2015年9月10日、7月の機械受注統計を発表した。主要指標である 「 …

toyodaakio
トヨタが個人投資家向けにわざわざ種類株を発行する理由

 トヨタ自動車は2015年4月28日、値下がりリスクを抑える代わりに、売却や配当 …

setsubitousi
設備投資の先行指標にちょっとした異変。設備投資復活か単なるブレか?

 アベノミクスにおける最大の懸念材料の一つであった企業の設備投資に変化の兆候が見 …

abeshouhizei
法人減税の急浮上によって、政府内部の財政をめぐる綱引きが激化

  安倍政権が消費税の増税と、これに対応した総額5兆円の経済対策を発表したことで …

toshiba03
東芝が来期の業績予想を発表。不正会計問題に加えて経営危機説も

 不正会計問題が指摘されている東芝は2015年12月21日、これまで公表を延期し …

kokuritsukyogijo
創造か破壊か?新国立競技場のあまりの奇抜さと巨大さに各方面から異論噴出

 2020年の東京オリンピック開催が正式決定したことで、メイン会場となる新国立競 …