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世耕経産相が米主要経済閣僚と初会談。見えてこない日米交渉の道筋

 

 訪米した世耕経済産業相は2017年3月16日、ロス米商務長官らトランプ政権の主要閣僚を相次いで会談を行った。4月からスタートする予定の日米経済対話に向けた地ならしが目的だが、日米交渉の具体的な道筋は見えていない。

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 世耕氏が会談したのは、ロス商務長官、コーン国家経済会議委員長、ペリー・エネルギー長官の3名。ロス長官との会談では、双方の立場を確認し、今後の経済協議の下準備を行ったとされている。
 2月に行われた日米首脳会談では、日本の通商政策に対してトランプ大統領から直接的な言及はなかった。その代わり、経済や通商に関して包括的な議論を行う日米経済対話の創設について合意している。

 日本側としては、対中国政策について議論する場にしたいところだが、場合によっては米国側が具体的な要求を繰り出してくる可能性もある。その意味で、今回の世耕氏の訪米は米国の出方を探るよい機会だったといえる。

 結局のところ、今回は双方の立場を確認する形で会談が終了したが、米国が通商問題に関して矛を収めたわけではない。それは通商問題を担当する幹部の発言を見れば分かる。

  貿易交渉の実務を担当する米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は14日、議会の公聴会において「農業分野の市場拡大については日本を標的にする」との見解を示している。TPPではコメなどの主要品目について現行の関税をある程度維持することができたが、米国はすでにTPPを離脱しており、今後の日米交渉は白紙からのスタートになる。米国がコメなどの市場開放を強く求めてくる可能性は否定できない。

  また今回の会談では東芝問題にばかり焦点が当たっていることも少々気掛かりだ。世耕氏は会談終了後、巨額損失を抱える東芝の米原子力子会社米ウェスチングハウス(WH)について、ロス長官とペリー長官から「東芝の財政的安定性は、米国にとって非常に重要である」との発言があったと述べている。
 WH社を破たん処理することについて米国側が懸念しているということだが、本当にこのテーマが大きな議題だったのかは定かではない。

 いずれにせよ、今回の会談で通商問題に関する具体的な話題が出てこなかった以上、詳細は4月以降の経済対話の場に持ち越されたことになる。米国側は経済対話というパッケージ・ディールの中で、案件を細かく持ち出して日本側を翻弄する可能性もある。通商問題は、今後しばらくの間、日米間の頭痛の種になりそうだ。

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