ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

ビールの店頭価格が上昇。背景にあるのは政府による安値販売の規制

 

 このところビールの店頭価格が上昇している。昨年の法改正によってビールの安値販売が規制されたことが主な要因。ビールの出荷量は前年割れと不振が続いている中、正式に規制が適用となる6月に向けてさらに価格は上がりそうだ。

beerneage

 政府は2016年5月、「酒税法」と「酒類業組合法」を改正した。酒類販売の業界にはメーカーが小売店に対して多額の販売奨励金を支払う慣行があり(業界ではこれをリベートと呼んでいる)、これが安値販売の原資となっていた。

 改正法では安値で販売することが事実上禁止になったことに加え、リベートの扱いについても基準が厳格化された。これらの規制が適用になるのは今年の6月からだが、メーカー側は、適用後に向けてリベートの条件を厳しくしている。このため小売店は大胆な安値販売ができず、店頭価格が徐々に上昇している。
 ビールは客寄せの目玉商品として最適であり、ビールの値引きキャンペーンを行うことで、他商品の購入につなげる量販店も少なくなかった。大幅な値引きができなくなると、店舗全体の売上げに影響する可能性もある。

 今回の法改正は小規模な酒屋などで構成される業界団体が強く実現を求めてきたものだが、安値を規制すれば客足が戻るのかというと、それほど単純な状況ではない。ビール大手5社の売上高は前年を下回っているが、この傾向はかなり以前から続いている。

 労働者の実質賃金はマイナスが続いており、基本的に消費者の購買力は弱くなる一方である。新ジャンルの開拓などで価格を抑制することで、何とか販売を維持してきたが、市場が伸びないのは構造的な要因が大きい。安値販売を規制してしまうと、売上げ減少が加速するリスクもある。

 もっとも今回の規制はコンビニにとっては追い風との見方もある。コンビニは量販店のような安値販売をしておらず、酒類については量販店に水をあけられていた。コンビニにはもともと集客力があることを考えると、価格差が縮小することのメリットは大きい。

 いずれにせよ、安値販売の規制は消費者にとっては不利なことばかりである。ビールを飲むことはもはや贅沢な行為となりつつあるが、今年はその傾向がさらに顕著となるだろう。

 - 経済 , ,

  関連記事

timcook
株価暴落と現金退蔵問題にも関わらず、Appleの株主総会が平穏だったワケとは?

 大幅な株価の下落と12兆円にも達する現金の保有で市場の関心を集めていた米App …

imf201601
IMFの世界経済見通し。中国のくしゃみでロシアとブラジルが高熱ダウン

 IMF(国際通貨基金)は2016年1月19日、世界経済見通しの改定値を発表した …

merukeru00
ドイツ要人が相次いで日本の円安政策を批判。基本的には国内向けなのだが・・・

 ドイツのメルケル首相は24日、スイスのダボス会議において、日本が進める為替政策 …

kokkaigijido02
基礎的財政収支黒字化はますます困難に。だが、足元ではそれ以上の懸念材料が・・・

 2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するという政府公約 …

mof02
財務省が物価連動国債を個人にも解禁。足元では金利低下が続いているが・・

 財務省は2014年5月13日、物価連動国債の個人保有を2015年1月から解禁す …

inteldatacenter
米インテルの2014年1~3月期決算。オールド優良IT企業としての体質がより鮮明に

 半導体世界最大手の米インテルは2014年4月15日、2014年1~3月期の決算 …

no image
為替市場で円高が進行。投資家の注目が「実質金利」に集中したことが要因?

 為替市場で円安が進んでいる。5日には一時、1ドル=109円台を付けるなど、1年 …

neet
ニートだけの会社が11月設立へ。批判の声は多いが、ガバナンス論に一石の可能性も

 メンバー全員がニートで、株主かつ取締役というまったく新しいコンセプトの会社が1 …

kaisha
親の世代と若い世代の企業人気ランキングに異変。日本の大企業はとうとうオワコンか?

 保守的傾向が強く世代間であまり変化のなかった日本人の企業人気ランキングに異変が …

sakane
ドイツに学べというコマツ坂根会長の発言が際立つ。日本はドイツになれるのか?

 政府の産業競争力会議のメンバーであるコマツの坂根正弘会長の発言が最近注目を集め …