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G20の声明文から反保護主義の文言が消滅。今後は露骨なパワーゲームの時代へ

 

 ドイツのバーデンバーデンで開催されていたG20(主要20カ国の財務相・中央銀行総裁会議)が2017年3月18日に閉幕した。従来の声明には必ず盛り込まれてきた「保護主義に対抗する」という文言が、米国からの強い要望によって削除された。これまで自由貿易を大原則としてきたG20は曲がり角を迎えている。

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 今回のG20はトランプ政権発足後、初めての会合となった。これまでのG20は、自由貿易体制を維持し保護主義に反対することを基本方針としてきた。このため声明文には反保護主義の文言が必ず盛り込まれていたが、今回の声明文にこの文言は記載されていない。

 削除された理由は明らかにされていないが、米国から強い要請があったことは間違いない。ドイツのショイブレ財務相は「強く反対している国があるにもかかわらず(文言を)盛り込むことはできない」と米国が反自由貿易的な記述に対して強く反発したことを暗に批判している。またフランスや中国も保護主義に反対するという姿勢を明確に打ち出した。

 日本の麻生財務相だけは「米国に配慮したわけではない」と米国を擁護する発言を行っているが、これで米国の日本に対するスタンスが甘くなるのかは何ともいえない。

 従来は、貿易を制限する各種施策については、原則としてすべて排除すべきものという認識で一致しており、各国の交渉も自由貿易を是とすることが大前提となっていた。たが、今後は、各国が自国の利益を考えた上で「公正な貿易」について主張するようになると予想される。

 これまでも原則はあくまで原則であり、最終的には国家間の力の差によって貿易条件が決まっていた。その点では今と大きく変わるわけではないが、パワーゲームの色彩がより濃くなることは間違いない。

 日本は交際交渉を不得手としているが、経済の貿易への依存は高い。タテマエとはいえ、自由貿易というルールが存在していることのメリットは極めて大きかった。だが、今後はエゴ丸出しの国際交渉を各国と行う必要があり、日本は極めて厳しい状況に置かれることになる。

 確かに米国の保護主義を擁護するスタンスを明確にし、米国の庇護を求めるというのはひとつのやり方かもしれないが、米国からの要求は最優先で受け入れることが引き換え条件となる。米国は農業分野での市場開放を強く求めているといわれており、コメの自由化が再び議論の対象となることも考えられる。

 自由貿易のあり方について米国と正面切って交渉を行う可能性が高いのは中国だが、米中交渉の状況は流動的であり、今後どのような方向になるのか現時点では何ともいえない。当面は、米国側の出方を見守るしかないだろう。

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