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香港行政長官選挙は予想通りの出来レースで親中派女性候補が勝利

 

 香港トップである行政長官を選ぶ選挙が行われ、中国政府の支持を得た前政務官の林鄭月娥(キャリー・ラム)氏が7割近くの票を押さえて初当選した。行政長官選挙をめぐっては普通選挙を求める民主派と親中国派との間で激しい対立があり、香港内部は分裂している。

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 香港の行政長官選挙は間接選挙制となっており、事前に中国側の承認を得た候補者を選挙委員会の投票で選出する仕組みになっている。選挙委員会のほとんどは親中派が占めるため、民主派は事実上、行政長官になれない状況が続いてきた。

 今回の選挙に向けて香港内部では民主的な選挙を求める声が高まり、中国政府は選挙制度改革を進める方針を明らかにしていた。
 だが、中国の国会にあたる全人代(全国人民代表大会)常務委員会は2014年8月、選挙制度の改革案を全会一致で決定したが、その内容が実質的に民主派の立候補を制限するものであったことから学生や民主派が猛反発。結果的に大規模なデモに発展した(雨傘運動)。結局、制度改革は行われず従来と同じ形で今回の選挙が実施された。

 林鄭氏は雨傘運動の際、政権ナンバー2としてデモと対峙。市民側の要求をすべて拒絶したことで、中国政府から高く評価された。間接選挙を行う選挙委員会のメンバーは中国本土と関係が深い実業家で占められているが、林鄭氏は、親中国派の政財界人の支持を固め、他の候補を大きく引き離した。次点となったのは前財政官の曽俊華氏だが、世論調査で曽氏の支持率は林鄭氏を上回っていたとされる。

 ただ曽氏は林鄭氏と同様、前政権の幹部であり完全な民主派というわけではない。一時期は中国の習近平国家主席と近い関係にあると批判されたこともある。ただ、中国側は曽氏を強く警戒していると言われており、中国が認める長官候補は林鄭氏であるというメッセージを送り続けてきた。その意味では、中国に対する反発が曽氏の支持率を高めていただけであり、出来レースという点では同じといえる。

 行政長官の任期は5年で、当面は中国からの強い支持を得た林鄭氏が香港の実権を握ることになる。だが普通選挙を求める民主派の反発は根強く、政権運営は容易ではないだろう。

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