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マイナス金利以降、タンス預金がさらに増加。将来への不安を反映?

 

 マイナス金利の導入以降、タンス預金が増加していると言われてきたが、その傾向に拍車がかかっている。世界的には電子マネーの普及で非現金化の流れだが、日本は完全にガラパゴス状態となっている。

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  2016年末の現金通貨の残高は94兆8100億円で、この金額はGDP(国内総生産)の約17%、マネーストックの約7.4%を占めている。GDPに対する現金の比率は米国では8%程度、ユーロ圏では10%程度なので日本の現金比率は先進国としては突出して高い。
 日本ではクレジットカードなど現金以外の決済手段があまり普及してないので、日常的な現金決済比率が高いという特徴がある。だがこれに加えて現金のニーズとして増加しているのがタンス預金である。

 マネーストックに対する現金の比率はマイナス金利が囁かれ出した2015年頃から増加しており、2016年末も前年を超えた。現金通貨の増加分の何割かはタンス預金に回っている可能性が高い。これは2016年1月にマイナス金利が導入されて以降、家庭用の金庫の売れ行きが拡大したことからも裏付けられる。

  マイナス金利政策は、理屈上はマネーを預金として眠らせず、設備投資などに回るようにする政策なので、インフレ期待を高めるためのものである。インフレ時に現金を保有することは危険なので、本来ならタンス預金は経済合理性に反する行為ということになる。
 それでもタンス預金が急増しているのは、日本の金融政策や経済政策について不安視する層が増えていることを示している。

  このことは、日本において量的緩和策があまり効果を発揮しないことと表裏一体と考えてよい。中央銀行がいくらインフレ期待の醸成を試みても、国民が経済の先行きについて強く不安視する状況では、モノの購入や投資にお金を回さない。神経質な人は、不安心理が大きくなり現金保有に走るものと思われる。

 特に大きいのは社会保障に対する信頼感だろう。年金や医療などの社会保障制度は、大きな資産を持たない層にとっては最後の砦となる資産だ。この部分で安心感が持てない場合、マインドはどうしても後ろ向きになってしまう。

 量的緩和策は汎用的な理論であり、どのような経済環境においても一定の効果が期待できるものとされている。だが現実の政策として有効に機能させるためには、それだけでは不十分な場合がある。

 日本の場合、社会保障システムの改革を同時に進めないと、消費者のマインドが改善せず、量的緩和策の効果が半減してしまう可能性が否定できない。タンス預金の増加は日本市場がガラパゴス化しているということよりも、不安心理が台頭しているサインと解釈すべきだろう。

 - 社会, 経済 , ,

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