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米国第一主義を掲げる保守強硬派がシリア攻撃をめぐりトランプ政権内で孤立

 

 米国がシリアの軍事施設を攻撃したことで、市場にはちょっとした動揺が広がっている。米国による攻撃そのものは驚くような事態ではないが、人道問題などに対する不介入を掲げてきたトランプ政権の方針とは正反対の決断だったからである。背景にはトランプ政権内部における保守強硬派の影響力低下がある。

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 トランプ政権は「米国第一主義」を掲げており、自国の利益に関係しない限り人権問題など国際問題には関与しない方針を明確にしていた。こうした自国第一主義はトランプ氏の熱烈な支持層である保守強硬派が強く主張してきた考え方である。

 日本では保守や右派と呼ばれる層は論理よりも情緒が優先することが多く、ナショナリストを称していながら、ロシアのプーチン大統領に親近感を持ったり、軍事力を伴った米国による他国への介入を支持するという矛盾した傾向が見られる。
 だが論理的な近代社会である米国の場合、保守強硬派は基本的には米国第一主義であり、理由の如何を問わず、自国の利益にならない政策は一切望まない。トランプ政権における保守強硬派のトップはスティーブ・バノン主席戦略官だが、バノン氏は過激な保守系メディアの運営者として頭角を現し、移民などに対する相次ぐ差別的発言でリベラル系から批判されている人物である。

 今回、シリアが化学兵器を使用したことに対して米国は人道的見地からシリア攻撃を決断したが、これはトランプ政権の当初の方針とは180度異なる決断だ。人権を重視する主流派が攻撃を強く主張し、トランプ氏がこれに同意した格好だが、政権内で唯一、シリア攻撃に強硬に反対したのがバノン氏といわれる。

 論理的な右翼であるバノン氏からすれば、人道的理由で米国がシリアに干渉するなどあってはならないことなのだろう。だがバノン氏は政権内で孤立しており、すでにNSC(国家安全保障会議)の常任メンバーからも外されている。今後、政権における保守強硬派の立場はかなり劣勢になる可能性が高い。

 だが市場がこれにどう反応するのは何ともいえない。移民排除といったナショナリスト的な政策が後退する可能性が高まる一方、安全保障の主導権が国防総省に移ったことで、大規模な減税やインフラ投資の実現が危ぶまれる可能性もある。積極的な軍事介入を継続しながら、大規模な減税とインフラ投資を実施するのは財政的に厳しいからである。

 良く言えば柔軟で、悪く言えば場当たり的なトランプ大統領の決断は今のところ大きな失態にはつながっていない。だが安全保障政策が迷走するような状況なった場合、政権運営に支障を来す可能性も十分に考えられる。

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