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東芝が監査法人の適正意見なしで決算発表を強硬。日本市場はとうとうレッドラインを越えた

 

 経営危機に陥っている東芝は2017年4月11日、2度にわたって延期していた2016年4~12月期の決算を発表した。だが、監査法人が適正意見を付けない状態での決算発表という極めて異例の事態となっている。
 上場企業が、監査の通らない状態で決算発表を強硬するというのはとうてい許容されることではない。日本の株式市場は越えてはいけいない一線を越えており、この状態を放置すれば、今後の市場運営はもちろんのこと、日本経済そのものにも深刻なダメージを与えかねない。

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 東芝は米国の原子力事業において7000億円程度の損失を抱えているとされる。同社はWHにおける損失額を確定できず、これまで2度にわたって決算を延期してきた。WHは3月29日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用をニューヨーク州連邦破産裁判所に申請し、破産の手続きに入った。本来であれば、WHが破産することで損失額が最終確定するので、東芝は何の問題もなく正式な決算を発表できるはずである。

 だが、今回の決算発表にあたり監査を担当するPwCあらた有限責任監査法人は、WHの損失額をめぐり適正意見を付けることができなかった。
 WHの財務をめぐっては、昨年末に発覚した巨額損失を少しでも低く抑えようと、一部経営陣が従業員に過度な圧力をかけた疑いが指摘されている。監査法人は過去の決算についても疑義を持っているが、適切に判断するための材料を得られていないという。

 過去2回の決算延期についても、基本的に監査法人が適性意見を出せないことが原因だった。東芝側は今回も監査法人が納得できる材料を提供できず、結局は監査意見を付けず決算発表を強硬した。
 東芝が一方的に開示した財務諸表によると、現時点における原子力事業を含むエネルギー部門の損失は約7700億円となっており、営業損益は5762億円の赤字だった。株主資本は2256億円のマイナスで債務超過の状態にある。2017年3月の通期決算が目前に迫っているが、同社では通期決算の見通しについても「未定」としている。

 株式を上場し不特定多数の投資家から資金を預かる企業にとって、監査法人による会計監査は絶対に欠かすことのできない手続きである。自ら適正意見なしの決算を発表することは市場を愚弄する行為であり決して許されるものではない。

 株式市場の適切な運営は先進国経済にとって命綱のひとつであることを考えると、日本は先進国として越えてはいけない一線をとうとう越えてしまったといってよい。東芝は上場廃止について「あくまで東証が判断すること」としており、自ら非上場化する考えはないことを強調している。これは市場に対する一種の挑戦状といってよいだろう。

 このまま東芝のような企業を放置すれば、日本の株式市場における自己規律は失われたと多くの投資家は判断するだろう。自国の資本市場が機能しなくなることの恐ろしさは、実際にそうなってみなければ実感することは難しい。今回の一件が、日本市場の終わりの始まりとなるのかは、市場関係者の知性とモラルにかかっている。

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