ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

金融庁の強い意向で毎月分配型投信の販売が減少。それでも顧客は毎月分配型を望む?

 

 投資信託の販売が急速に落ち込んでいる。アベノミクスによる株価上昇が一段落したことが主な要因だが、「顧客本位」の行政を打ち出す金融庁の厳しい姿勢も影響している。

kabuka

 日本には約6000本の公募投信が存在しているが、市場規模に比べて本数が多いという特徴がある。投信の純資産残高は100兆円程度だが、ここに6000本の商品がひしめき合っている。ちなみに米国は2000兆円以上の残高があるものの、本数は1万本程度しかない。つまり日本の投信は1本あたりの資産が米国の12分の1しかなく、運用効率が悪い。

 日本の投信会社や販売を担当する金融機関は、次々と新商品を投入することで手数料を稼いできたわけだが、2016年の投資信託の新規設定本数は595本と前年比で16%も減少した。一方で償還される投資信託の数は378本とこちらは前年比で40%も増加している。

 投信の販売が落ち込んでいるのは、アベノミクス相場で新規設定が続出したことの反動だが、理由はそれだけではない。金融庁が「顧客本位の行政」を打ち出し、金融機関に対して厳しいスタンスで臨んでいるからだ。

 現在、金融庁の長官を務める森信親氏は異色の官僚といわれており、長官に就任すると、顧客のためにならない商品やサービスについて厳しく批判。金融機関は震え上がり、いくつかの商品については販売を自粛しているという。

 最初のターゲットになったのが毎月分配型の投資信託といわれている。毎月分配型の投資信託は、収益の一部を毎月分配するタイプの投資信託で、毎月お金が振り込まれるという「安心感」から大ヒット商品となっていた。

 だが、運用について少しでもかじったことがある人なら理解できるはずだが、株式や債券など、投資先から得られる本当の収益は、四半期に一度や1年に一度の頻度でしか分配されない。それにもかかわらず毎月投資家に資金を分配しているということは、場合によってはタコ足配当(投資すべき自身の資金を配当してしまうこと)になる可能性があり、投資家にとっては不利な商品といえる。

 こうした質の悪い商品が排除されることそのものはよいことだが、最大の問題は、この不利な商品を顧客が強く望んでいるという現実である。日本人にとっては「安心感」がすべてであり、自身にとって不利かどうかはあまり考えない。その結果が毎月分配投資の大ヒットにつながっている。

 金融庁がどれだけ厳しいスタンスで臨んだとしても、顧客がそれを強く求めている以上、本質的な解決にはならない。日本の株式市場にとって本当に必要なのは、商品の販売を自粛させることではなく、金融リテラシーの向上ということになる。

 - 経済 ,

  関連記事

josei02
女性活用は効果6兆円との試算。だが女性も働かないと経済を維持できないのが現実

 電通総研は7月25日、主婦の再就業による経済波及効果に関するレポートを発表した …

oilrigtexas
米国がサウジを抜いて世界最大の産油国に。今後、地政学的なバランスは激変する

 石油メジャーの英BPは2015年6月10日、2014年のエネルギー統計を発表し …

coal
迷走が続く日本のエネルギー政策。結局は石炭火力という国際標準に落ち着くのか?

 迷走していた日本のエネルギー政策にひとつの方向性が見え始めている。一旦は縮小さ …

no image
経済優等生のブルガリアがユーロ加盟を拒否。ユーロ圏拡大にブレーキ

 ユーロ導入を検討していたブルガリアが、EUの将来性が見込めないことから、導入を …

bigben
ロシアと敵対しても金融街へのアクセスを禁止しようとしない英国の高度な戦略

 ウクライナの内政にロシア軍が介入している問題について、米国やEUは部分的な制裁 …

ieren201409
FRBが量的緩和終了をあらためて確認。利上げによる円安が加速か?

 FRB(連邦準備制度理事会)は2014年9月17日、FOMC(連邦公開市場委員 …

zaiseishuusi
政府が財政収支の試算を公表。2020年度PB黒字化は達成困難に

 政府は2014年7月25日、「中長期の経済財政に関する試算」を公表した。日本政 …

zangyou
米国人は仕事中毒?休暇中もノートパソコンを叩く人が増加中

 米国では休暇先にパソコンを持ち込み、仕事をする人が増えているという。日本では残 …

africa
国連の世界人口予測が示す、中国の失速と米国の躍進。総人口ではアフリカが急進

 国連経済社会局は6月13日、世界人口展望の最新報告を発表した。それによれば、現 …

factory05
米中両国の製造業指数が示す、好調な個人消費と低調な製造業の綱引き

 米国と中国の製造業で冴えない指標が相次いでいる。米供給管理協会(ISM)が発表 …