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海外M&Aに失敗した日本郵政が今度は野村不動産の買収に乗り出す

 

 日本郵政が野村不動産の買収に乗り出す。同社はオーストラリアの物流会社を買収したものの、1年も経たずに巨額減損に追い込まれている。国内の不動産会社を買収することで、保有する資産の有効活用を狙うが、成長にどこまで寄与するのかは何とも言えない。

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 同社は野村證券グループの不動産会社である野村不動産に対してTOB(公開買い付け)を実施する方向で検討を進めている。野村不動産は「プラウド」というブランド名でマンションを展開しているほか、オフィスビルの運用も行っている。

 郵便事業と不動産開発は直接シナジーがないように思えるが、そうではない。日本郵政は全国で2万カ所の郵便局を保有しているほか、逓信病院などの医療施設、かんぽの宿といった宿泊施設など多数の不動産を抱えている。建物などを加えた固定資産の総額は3兆円に達しており、これらの有効活用は以前からの課題であった。

 同社は、大型銘柄として上場を果たしたものの、本業である郵便事業は縮小が余儀なくされている。上場後の成長シナリオとして当初は海外M&Aを掲げており、豪物流会社の買収はその目玉となる案件だった。

 ところが2015年に6200億円のものを費用を投じて買収した豪トール社は、業績不振から2年も経たないうちに4000億円の減損が発生する状況となっている。海外展開のシナリオが崩れた今、白羽の矢を立てたのが国内の不動産ビジネスである。

 確かに企業戦略としては一貫性にかけるが、今回の野村不動産の買収は、それなりに効果を発揮する可能性が高い。日本郵政は多額の不動産を所有しているものの、これらの運用に関するノウハウはほとんどない。民間デベロッパーのノウハウを生かせば、不動産の有効活用は一気に進むだろう。

 しかしながら、日本郵政の企業規模を考えると、不動産の有効活用も焼け石に水かもしれない。仮に同社が持つ固定資産1兆円を5%で運用できたとしても、フローという意味での収益は年間500億円程度にしかならない。
 日本郵政の2017年3月期の売上高は約13兆円、経常利益は約8000億円であることを考えると、業績への貢献は限定的だろう。

 - 政治, 経済 ,

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