国士気取りの銭ゲバ・インサイダー官僚が保釈。こともあろうに公判では無罪を主張
経済産業省幹部のインサイダー取引事件で、金融商品取引法違反に問われていた前資源エネルギー庁次長、木村雅昭被告について、東京地裁は保釈を認める決定をした。保釈金は1000万円。
木村被告は、2009年当時半導体業界を担当する商務情報政策局の審議官をつとめていた。木村被告は、半導体大手のエルピーダの救済プランをまとめる責任者の立場であったことを利用して公表前に株を売買、不正に利益を得た疑いが持たれている。同様に半導体大手のNECエレクトロニクス(現ルネサスエレクトロニクス)株についてもインサイダー取引をしていたとみられる。不正に得た利益は約230万円。
政府(経産省)主導による日の丸半導体救済策は、公平性や透明性の観点から数多くの批判にさらされている。こともあろうに、その責任者である官僚が、インサイダー取引で不正利益を得ていたというのだから開いた口が塞がらない。
本人は「オレが(救済プランを)まとめた」と周囲に吹聴し国士気取りだったという。1500万円程度の年収にもかかわらず、全身をブランド物で固め、なぜか1000万円もするベンツを乗り回していた。いずれ知事選に出ると話していたとも伝えられる。
木村被告に対する公判は今月始まったばかりなのだが、何と本人は「違反はしていない」と無罪を主張している。検察側は、被告が証券取引等監視委員会の強制調査の際に「取引は妻の判断で行った」と弁解していた点に着目。妻がやったことにするため、妻に投資情報誌の関連記事を覚えさせるなどの証拠隠滅を図ったと見ている。
本来刑事被告人は推定無罪の原則が適用されるべきなのだが、このケースはそういう次元を超えている。そもそも国家主導で大企業の合併を進めている真っ最中である。いかなる理由があろうともその責任者が関連株を売買することなどあってはならない。それだけでも十分な背信行為である。インサイダー取引の要件に合致するかなどもはや瑣末な問題だ。この男はとことん腐っている。
こういった官僚の不祥事が起こるたびに、モラルの問題が指摘される。だがこういった腐敗の発生は国民にも大きな責任がある。
そもそも、公務員試験というたった一回のペーパーテストで高級官僚の適性を見極めることなど、どう考えても不可能である。しかも一旦入省してしまえば、外部との一切の競争に晒されずに昇進が約束される特権待遇である。腐敗しないわけがないのだ。
民間にはいくらでも人材はいる。高級官僚など、産業界で実績を上げ、人物的にも評価を得ている人を必要に応じて登用すればよい。公務員改革を実施しない政治家にホイホイ票を入れ、こういった腐敗官僚を間接的に支援しているのは、ほかならぬ我々自身なのだ。
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