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安倍政権が世論最優先のスタンスに転換。党内の力学バランスに変化か?

 

 与党内の力学関係に変化の兆しが出てきた。安倍首相が現行の憲法9条を残した形での改憲案を打ち出すとともに、天皇陛下の退位をめぐる特例法では、女性宮家の検討について与党が譲歩するなど、世論に配慮する傾向が顕著となった。安倍首相が在任中の憲法改正を最優先するスタンスに舵を切った可能性がある。

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 安倍氏は今年5月、憲法9条の1項と2項を残し、新たに自衛隊の存在を明記する3項を加える形で2020年までに憲法を改正したいという意向を明らかにした。
 自民党では憲法改正を視野に、独自に「憲法改正草案」を作成していたが、自民党の草案には、9条の改正以外に、個人の権利を後退させるような時代錯誤的、非民主的な改正項目が多数、盛り込まれていた。

 実際に国民投票となった場合、自衛隊の合憲化だけであれば、多くの賛成票を得られる可能性があるが、民主主義を後退させるような内容の場合、賛成票を得るのは極めて難しくなる。安倍氏は憲法改正の実現を最優先し、現実的なスタンスに変更した可能性ある。

 こうした動きは天皇陛下の退位問題にもあらわれている。退位をめぐる特例法については、民進党が女性宮家の検討を盛り込むよう強く求めていたが、自民党が譲歩し、民新案を受け入れる方向で調整が進んでいる。

 現在の国会の情勢を考えると、民進党の影響力は限定的であり、自民が譲歩したのは与党内の力学関係の影響が大きいと考えられる。

 これまで安倍氏は自身の支持層である保守強硬派の主張をできる限り受け入れる形で政権運営を進めてきた。だが、こうした保守層と一般的な国民の感覚には相当の乖離があり、現実に憲法を改正する場合、これが大きな障壁となるのは確実な状況であった。

 天皇陛下の退位問題については、天皇陛下ご自身が、女性天皇の可能性も含め、国民的な議論を望んでいたにもかかわらず、政府は保守強硬派に配慮するため、陛下の意向を無視する形で拙速に議論を進めてきた。こうしたスタンスは確実に政権にとってマイナスとなる。

 安倍氏は憲法改正という自身の悲願のために賭に出た形であり、それは与党内のパワーバランスが変化しているということでもある。憲法改正問題が政局の引き金を引く可能性も出てきたかもしれない。

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