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男女平等と経済成長の密接な関係。女性差別が激しいフランスから分かること

 

 フランス政府は30日、女性差別を解消するための対策を発表した。職場での女性差別や家庭での女性に対する暴力の撤廃を促進させる。
 対策の中身は、女性に対する暴力専用の110番ダイヤルの設置、職場における男女雇用平等法の実施状況のチェック、小中学校における男女平等教育の徹底などに多岐にわたる(写真はイメージ)。

 フランスは女性差別が激しい国として有名で、女性の社会進出はイタリアと並んでヨーロッパの中では最低水準。日本や韓国など男尊女卑が根強い東洋圏に近いレベルだ。
 政治における女性登用も進んでおらず、県議会議員の中で女性議員の占める割合はわずか9.3%と日本よりも低い。女性議員が一人もいない県が20近くもある。北欧やドイツなど半数近くが女性議員で占められている国とは状況が大きく異なっている。職場における待遇でも男女に際立った違いがあり、セクハラも横行している。

 フランス政府はこの状態を解消すべく、クォーター制(4分の1を女性にすることを目指すシステム)を導入しているがあまり効果は上がっていない。

 男女の機会均等は経済水準と密接に関係しているといわれる。一般に男女が平等な国ほど内需が活発で経済が順調に拡大しやすいという傾向が見られる。実際、欧州は経済危機の真っ只中だが、ドイツや北欧など女性の社会進出が進んでいる国の経済は好調である。
 理由は単純で、女性の社会進出が増えれば、所得が向上して消費が増加する。競争が促進されるため生産性も向上するということだ。

 フランス政府が実施しようとしている上からの強制的な機会均等政策はうまく機能しないとの見方が大半だ。世論がそうなっていない以上、強制しても効果を発揮しなというのがその理由である。
 確かに米国でも、黒人や女性の本格的な社会進出の原動力となったのは、公民権運動やウーマンリブ(フェミニズム運動)ではなく、80年代以降急激に進んだ規制緩和とグローバル化による激しい企業間競争である(ウーマンリブがそもそものきっかけになっていることは間違いないが)。北欧やドイツで女性進出が進んで経済が好調なのは、女性進出を強制的に進めたからではなく、競争を促進した結果、男女に関わりなく優秀な人材を登用しなければ競争に勝てなくなり、自然に女性の社会進出が進んだだけのことである。

 日本でも女性の社会進出はかなり以前から議論されてきたが、フランスと同様、あまり効果を上げていない。それは多くの人がそれを望んでおらず、しかも競争政策の導入にも否定的だからだ。最終的にどのようにするのかは国民次第だが、忘れてはならないのは、競争政策を導入すると、好むと好まざるとに関わらず女性の社会進出は進むという事実である。

 - 政治, 社会

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