ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

旧村上ファンドによる株主提案が可決。株主総会の光景は大きく変わった

 

 会社提案の議案が次々と可決されるだけの「シャンシャン総会」が当たり前だった日本の株主総会に異変が起きている。これまで企業の経営に口を出すことがなかった株主が、次々とモノ言う株主に変貌しているのだ。

kurodadenki

 2017年6月29日の総会集中日に開催された、電子部品商社である黒田電気の株主総会では、投資会社が株主提案した社外取締役の選任議案について賛成多数で可決された。提案したのは投資会社レノで、この会社は、かつて日本の資本市場で大暴れした村上ファンドの系列である。

 経済産業省出身で村上ファンド代表だった村上世彰氏は、東京スタイル、阪神電気鉄道、ニッポン放送などの株式を大量保有し、モノ言う株主として次々と企業の経営に口を出し、日本の経済界を震撼させた。村上氏は2006年6月、インサイダー取引で逮捕され、最終的には執行猶予付きの有罪判決が下されている。
 村上氏は現在、シンガポールに移住しており、投資の最前線からは離れているが、レノの事実上のトップが村上氏であることは市場関係者の多くが知るところとなっている。

 村上氏の逮捕・起訴は国策捜査であるとの見方も根強く残っているが、当時の村上氏に対する世間の批判はすさまじいものがあった。こうした過去の経緯を考えると、実質的に村上氏のファンドであるレノの提案に賛同する株主が多かったというのは、まさに時代が変化した証拠といってよいだろう。

 黒田電気以外でも、相談役の廃止が株主から提案されたり、選任議案の反対票が増加するといった変化が見られる。会社側も投資家の状況に配慮するようになっており、集中日に総会を開催する企業は3割程度まで減少した。

  日本のコーポレートガバナンスがここまで急激に変化したのは、安倍政権が進めてきたガバナンス改革による影響が大きい。上場企業は株主との対話が強く求められるようになり、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など、多くの機関投資家が企業に対して積極的に口を出すようになった。

 政府によるガバナンス改革の背景には、赤字が続く日本の公的年金を救済するため、株価の上昇と配当の増額が必要だったという、かなりお粗末な事情があるのだが、結果として株主の意向が尊重されるようになったのは事実である。今後、日本流の不透明な経営スタイルは、さらに許容されなくなるだろう。

 - 経済 ,

  関連記事

gpifhiritsu201406
公的年金の株式シフトが前倒しスタート。一部からは利益の先取り懸念も

 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2014年8月2 …

kougu
日本は本当にモノ作りの国なのか?メイカーズ革命で問われる真の国民性

 日本はモノ作りの国であるといわれている。日本人は手先が器用で真面目なのでモノ作 …

imf201510
IMFが世界経済の見通しを発表。日本は大幅減で、中国は下方修正なし

 IMF(国際通貨基金)は2015年10月6日、最新の世界経済見通しを発表した。 …

global01
相次ぐ海外大型買収は日本経済に大きなメリットをもたらす

 ソフトバンクによる米スプリント社の買収やサントリーによる米ビーム社の買収など、 …

sakakibara
まるでヤクザ映画?政府が財界に「決意を示せ」と設備投資増強を要請

 経団連の榊原定征会長は2015年11月26日、政府が開催した官民対話で、設備投 …

abetoben
成長戦略の内容が徐々に明らかに。目新しさに欠け、市場が失望する可能性も

 政府が6月にまとめる成長戦略の内容が徐々に明らかになってきた。設備投資の促進、 …

frbieren201407
米国は利上げが近い?イエレン氏の発言に最初に反応したのは為替

 ドル円相場が急展開を見せている。最近まで1ドル102円前後を行き来している状態 …

kabuka
アベノミクスによる株高はいつまで続くのか?もしバブルだというならこんなレベルじゃない

 アベノミクスによる株高に証券市場は沸いている。経済誌などでは「本格的な上昇相場 …

mof03
法人減税は安倍政権の本当の「顔」を知るリトマス試験紙

 法人税減税の焦点である課税ベース拡大に関する議論が本格化している。政府の税制調 …

watsonibm
人工知能の本格普及が始まる兆し。これからの時代、知的職業はどう変わるのか?

  米IBMは2014年10月8日、同社の人工知能「ワトソン」を本格普及させるた …