ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

欧州の長期金利上昇が日本にも波及。日銀に残された時間は少ない

 

 欧州の長期金利が上昇している。ECB(欧州中央銀行)が量的緩和策の縮小を検討していることが伝えられ、ドイツ国債などが売られた。この動きは日本にも波及しているが、量的緩和策を継続中の日銀にとっては悩ましい事態となりつつある。

doragi02

 7月に入って欧州国債市場における金利が上昇している。6月後半には0.24%だった10年物ドイツ国債の金利は7月6日には0.56%まで急騰した。米国債も同様で、2.13%から2.36%に上昇している。

 背景にあるのはECBの出口戦略である。このところ欧州の景気が予想外の回復を見せていることから、ECBが出口戦略に舵を切るのではないかと見方が市場に広がっている。実際、6日に公表された議事録では、利下げの可能性を示唆する文言を削除するのかについて意見が交わされており、ECB内部でも出口に向けた議論が始まったことがはっきりした。

 これでまで欧州では、ドイツをはじめとする優等生が経済を牽引し、スペインなど危機を起こした国が足を引っ張る図式だった。だがこのところの景気回復は、スペインやギリシャなどでも顕著となっており、欧州全体に拡大している。ECBが出口戦略について議論をスタートするのは自然な流れといえる。

 米国に続いて欧州でも出口戦略がスタートすることになると、日銀は難しい立場に追い込まれる。仮に量的緩和策を続けるにしても、米欧で金利上昇が加速すれば、日本の金利もそれに追随する可能性が高い。緩和策の継続中に金利が上昇すれば、緩和策の効果は半減してしまう。

 また日銀が量的緩和策の継続を断念したとしても、金利上昇は出口戦略にとって大きなマイナスとなる。日銀が保有する国債を市場で売却するたびに売却損が出て、日銀のバランスシートが毀損するからだ。

 今のところはECBの動向を先取りした一時的な値動きにとどまると考えられるが、現実にECBが緩和縮小に乗り出した場合には、確実に日本国債にも金利上昇の圧力がかかる。FRBの資産縮小も年内にスタートするという現実を考えると、日銀に残された時間は少ない。

 - 経済 , ,

  関連記事

ginonujisshu
現代の奴隷制度ともいわれる外国人技能実習制度の改革は進むのか?

 新興国の外国人を期間限定で受け入れ、働きながら技能を学ぶ「技能実習制度」の改革 …

hitachiturbin
三菱重工と日立が火力発電事業を統合。だが肝心の技術でトラブルが続き前途多難

 三菱重工業と日立製作所は6月11日、火力発電事業の事業統合に関する基本契約書を …

foxconn
アップルがパソコンの一部の国内生産に回帰。だが鴻海への丸投げは変わらず

 米アップルが自社製品の一部を米国での生産に切り替える。同社のクックCEOが6日 …

kokusai
国債下落が金融機関に与える影響は低下傾向。だが安心できない最近の動き

 日銀は10月の金融システムレポートにおいて、2013年6月時点における金融機関 …

tosho02
上からの改革でROE向上を掲げる企業が急増。そのシワ寄せはどこに?

 ROE(株主資本利益率)の向上を経営目標に掲げる企業が急増している。これまで日 …

ieren02
イエレン議長初のFOMC。結局のところ米国経済は好調。利上げは近い

 イエレン氏のFRB(連邦準備制度理事会)議長就任後初めてとなるFOMC(連邦公 …

tsubaki
資生堂が初の本格的な社長外部招聘。お公家さん社風は変わるのか?

 資生堂は昨年末、前田新造会長兼社長が代表権のある会長に専念し、元日本コカ・コー …

Ecclestone
F1界のドン、バーニーエクレストン氏をドイツ当局が起訴。欧州の伏魔殿にメスか?

 自動車レースの最高峰であるF1グランプリ界のドンといわれ、F1関連の多くの興業 …

lixil
リクシルの海外M&Aは、今後の日本経済のあり方を示すお手本

 住宅設備最大手のLIXIL(リクシル)グループが大型の海外M&A(企業 …

hanedanarita
羽田・成田の地下鉄建設に年金と生保資金を活用。本当に大丈夫なのか?

 国土交通省は2020年代の開業を目指している羽田・成田を結ぶ地下鉄路線の建設に …