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子供の貧困が改善したのは、政府による貧困対策の結果ではない?

 

 子供の貧困がわずかだが改善している。だが先進各国との比較では、依然として日本の貧困率は高く、労働市場の構造的な問題も示唆される。

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 厚生労働省が2017年6月27日公表した「国民生活基礎調査」によると、2015年における子供の貧困率は13.9%と前回(2012年)よりも2.4ポイント改善した。子供の貧困率が改善するのは実に12年ぶりのことである。

 子供の貧困率は、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす17歳以下の子供の割合を示したもの。日本における子供の貧困率は依然から高かったが、2012年には16.3%にまで上昇した。

 子供の貧困率が上昇する最大の原因は、シングルマザーの雇用環境と考えられるが、今回の調査では子供がいる現役世帯のうち、大人一人の世帯における貧困率が54.6%から50.8%と大きく改善した。政府による貧困対策はほとんど進んでいないという現状を考えると、施策による効果というよりは、雇用環境の改善が寄与した可能性が高い。

 だが諸外国と比較すると状況はかなり悪い。欧州各国の子供の貧困率はほとんどが10%以下となっており、日本とはかなりの開きがある。先進主要国の中で、日本よりも貧困率が高いのは、苛烈な弱肉強食社会である米国などごく一部というのが現実である。

 特に日本の場合、シングルマザー世帯の中で、仕事がある人とない人の間で貧困率が大きく変わらないという奇妙が現象が観察される。最低賃金制度があるにもかかわらず、仕事の有無で貧困率が変わらないということは、労働基準方に違反した不当な賃金が横行している可能性が指摘される。

 これまでの日本では、ブラック企業に代表されるような、不当な労働環境は事実上、黙認されてきた。だが、ここ数年、社会の雰囲気は大きく変わり、当局も厳しい姿勢で臨むようになっている。こうした社会の変化を背景に、正当な賃金が支払われるケースが増え、これがシングルマザー世帯の所得を増やした可能性がある。

 正当な賃金が支払われないというのは、いわば奴隷労働であり、先進国ではあってはならないことである。貧困対策を充実することが重要なのは言うまでもないが、こうした前近代的な雇用慣行を是正するだけでも、大きな効果が得られる可能性がある。

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