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中国が南シナ海で実力行使を宣言。尖閣諸島ではそうしない理由

 

 中国の国営新華社通信は29日、南シナ海で中国が領有権を主張する海域に入ってきた外国の船舶について、公安・国境警備機関が乗り込んで捜索ができるという、あたらなルールを導入する報じた。新ルールは来年1月1日から実施される。領海侵犯した船に対しては、公安・国境警備機関が乗り込み、強制的に航路の変更や航行の停止を命令することが可能となる。

 中国外交部(外務省)の洪磊報道官は定例記者会見で「国際法に基づき全ての国には南シナ海における航海の自由がある」とし「中国は南シナ海における航海の自由を重要視している」と語った。だが新ルールの導入は、中国が領有権を主張する海域については、実力で支配権で確立するという中国の強い意思を示したものと思われる。

 中国は尖閣諸島をめぐって日本と領有権を争っている東シナ領域では、まだ同様の強硬措置を取る方針は表明していない。それには二つの理由がある。

 一つは地政学上の問題である 中国にとって南シナ海における制海権の確保は、安全保障上、極めて重要な意味を持っている。米国もそれに合わせて海兵隊の兵力を東シナ海領域(沖縄)から南シナ海にシフトしている。オーストラリアに海兵隊の基地を設置したり、沖縄の基地が一部返還されるのはこの流れの延長線上にある。日本が位置する東シナ海は「大国」である中国と米国にとっては「どうでもよい場所」となりつつある。つまり日本はいい意味でも悪い意味でも、無視されつつある。

 もう一つは、日本の強力な軍事力である。日本の海軍兵力は米国を除くと世界でもトップレベル。現在の中国海軍の装備ではまったく太刀打ちができない。下手に尖閣諸島近辺で衝突が発生してしまうと、局地戦で中国が負ける可能性が高い。局地戦とはいえ、人民解放軍が敗北するようなことがあれば、中国政府と共産党は国民からの信頼を一気に失ってしまうだろう。

 南シナ海において領有権を争っているのは、ベトナム、フィリピン、ブルネイなどであり、中国の軍事的優位は圧倒的だ。地政学上、南シナ海が重要であることと、現実的な戦闘能力で優位に立っていることの二つが、南シナ海での強行的なスタンスにつながっている。
 逆に日本は、当面の間は中国軍に対して優位であることと、実はあまり重要視されていないことの二つが重なって中国側が強硬姿勢を抑制している。だがこのバランスがこのままいつまでも持続する保証はない。日本に残された時間は少ないかもしれない。

 - 政治

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