ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

日本企業は効果の薄い新技術ほど導入に積極的?

 

 政府は2017年7月21日、2017年度版「経済財政白書」を公表した。今回の白書では、働き方改革でも話題となっている生産性についてかなりのページが割かれた。いつものことではあるが、日本企業における新技術導入はかなり保守的であり、改善の余地が大きいことが明らかとなった。

keizaizaiseihakusho

  全世界的に、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など、新技術が積極的に導入されるほど、生産性が向上しやすいことが明らかとなっている。白書によると、日本の大企業でAIを導入しているのは4.3%、IoTを導入しているのは10.9%だった。中小企業ではAIは0.4%、IoTは2.8%なので中小企業ではほとんど導入が進んでいない。

 これに対して、クラウドは大企業では42.7%が導入し、中小企業でも17.9%が導入済みとなっていた。AIやIoTに比べてクラウドの導入割合いは高いことが分かる。ロボットについても大企業が16.7%、中小企業が7.2%と比較的高い普及率となっている。

 一方、新技術が生産性向上に対して与える影響について試算したところ、もっとも高かったのはAIで次はIoTだった。クラウドやロボットが与える影響は相対的に見るとかなり低い。そうなると日本企業はクラウドやロボットなど、効果の低い技術を積極的に導入し、AIやIoTといった効果の高い技術には消極的ということになる。

 これは効果の度合いというよりも、周囲の様子を見てから導入を決めるという、典型的な日本企業の行動パターンに起因しているものと考えられる。クラウドは、諸外国ではすでに完全に普及したものであり、豊富な導入事例がある。日本企業はこうした事例を見てから導入を決めていると考えられる。

 しかしAIやIoTは、発展途上の技術であり、導入事例はそれほど多くない。この段階で積極的に導入すれば先行者利益が得られるはずだが、おそらく、日本企業は世界中にAIが普及してから、ようやく本格的な導入を開始するだろう。

 日本企業と欧米企業で生産性に大きな違いが生じるのは、意思決定に対する考え方の違いが大きい。ここに原因があるのだとすると、経営者のマインドを変えない限り、欧米との差は縮まらないことになる。

 - 経済, IT・科学 , , ,

  関連記事

no image
座礁したクルーズ客船の事故現場が大観光地に

 今年の1月に座礁事故を起こして転覆した超大型クルーズ客船「コスタ・コンコルディ …

newvaio
ソニーのVAIO分社化が完了。パソコンの手離れで市場の関心はいよいよTV事業へ

 ソニー経営再建の焦点となっていたパソコン事業分社化がひとつの節目を迎えた。投資 …

twitter
ツイッターの第3四半期決算。内容はそこそこだったが、市場は敏感に反応

 短文投稿サイトの米ツイッターは2014年10月27日、2014年7~9月期の決 …

trumpusa
トランプ政権の経済閣僚が固まる。かつての対日貿易交渉がそのまま中国版にシフト?

 トランプ次期政権の経済チームの顔ぶれがほぼ固まった。対中強硬派の人物が多く、中 …

kodomonote
政府が子供の貧困対策を本格化。だが、支援は民間による基金

 政府が貧困家庭の子供に対する支援の強化を検討している。企業や個人に寄付を呼びか …

zakabargukifu
フェイスブック、ザッカーバーグCEOの寄付は本当に寄付なのか?

 SNS最大手フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)と妻 …

buffett
著名投資家のバフェット氏が訪中。改革派のホープ汪洋副総理と会談

 国営新華社など中国のメディアは、米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が5月 …

monju
もんじゅの検証が行われないまま、新しい高速炉の開発計画が着々と進行中

 政府は廃炉が予定されている高速増殖炉「もんじゅ」に代わる新しい高速炉を開発する …

no image
タックスヘイブン(租税回避地)に対する包囲網が狭まる

 ジャージー島やマン島など、英国領の租税回避地(タックスヘイブン)が米国との租税 …

kinyuucho
金融庁が空売り規制をようやく緩和。株式市場はようやく平時の状態へ

 金融庁は3月7日、株式の「空売り規制」を緩和すると発表した。金融庁はリーマンシ …