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橋下氏の「変節」をブレーンの古賀氏が批判。元官僚をやたら持ち上げる日本社会の病理

 

 維新の会の橋下代表代行が、脱原発政策について事実上撤回する発言を行ったことに対して、元官僚で大阪府・大阪市特別顧問を務める古賀茂明氏がツイッター上で批判した。維新の会の主要ブレーンの一人が公然と橋下氏を批判したことによって、維新の会内部の状態がガタダタになっていることが浮き彫りになった。だが一部からは元官僚のブレーンに政策を依存したツケが回ってきているとの声も出ている。

 維新の会は、政策ブレーンとして古賀茂明氏、堺屋太一氏、高橋洋一氏などといった元官僚をズラッと取り揃えている。日本では脱官僚政治の象徴として、官僚に挑戦する民間人ではなく、なぜか官僚を辞めた人たちが賞賛される。
  確かに「あちら側」から「こちら側」に寝返った人は、相手の内部事情に詳しく、一定の役割があることは間違いない。だが彼らは、個人的な能力はともかくとして、国民から税金をもらい、「あちら側」で仕事をしてきた人たちである。
 本来官僚というのは政治家が決めたことを忠実に実行するのがその責務であり、自分達が主義主張を掲げて行動することは許されない存在。仮に政治家が間違った決断をしたとしてもそれに従う義務がある。在籍中にその方針に従わなかったというのは、その主張がいくら正しくても、完全に民主主義のルールを逸脱している。

 だが多くの日本人は、こういった脱藩官僚を異様に賞賛する。これは考えようによってはかなり危険な思想といえる。戦前の軍部の独走に代表されるような民主主義の破壊につながっていく(自分が正しいと思えば何をやってもよいという思考回路)危険性を内包しているのだが、なぜそうなってしまうのか?
 それは日本人の潜在意識の中に、官僚は絶対的に優秀であり、政治家に政治を任せてはいけないという、民主主義とは正反対の危険思想が根強く存在しているからである。
 つまり官僚政治への批判の多くが、政策決定が民主的であるべきだという論理的なものではなく、官僚がオイシイ思いをしていることに対する妬みにしか過ぎないのである。

 本来の脱官僚政治というのは、こういった官僚に対する国民自身の卑屈な考えも含めて改革することであり、辞めた官僚を賞賛して、現状の官僚の特権を批判することではない。古賀氏や堺屋氏、高橋氏は個人的には優秀な人物なのかもしれないが、民間でも優秀な人物はたくさん存在する。だが民間人では無理で、元官僚しか頼りにならないというなら、そもそも官僚政治の改革など無理な話である。

 橋下氏はタブーなきストレートな発言で、こういった卑屈な日本人の精神構造を打破することが期待されてきた。だが国民からの支持を取り付けるため、安易に元官僚のブレーンを多用してしまった。そのツケが今回ってきているということである。
 古賀氏をはじめ元官僚のブレーンの人たちは優秀な能力を持っているのかもしれないが、彼らが皆から相手にされなくなるようでなければ、本当の「維新」はやってこない。彼らも本当に官僚政治の改革を望んでいるなら、自分に注目が集まることなどなくなってしまうことを望んでいるはずだ。もし彼らの行動がそれと矛盾するなら、彼らの本音は違うところにある。

 - 政治

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