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安倍首相の加憲案に保守派の言論人が猛反発。憲法改正は流動的に?

 

 安倍首相が提示した、現行の憲法9条に自衛隊に関する項目を付け加えるという、いわゆる「加憲」案をきっかけに、これまで安倍氏を支持してきた保守派が反発を強めている。憲法改正は既定路線と思われていたが、状況は流動的になってきた。

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 安倍氏は2017年5月3日に開催された民間主催のフォーラムにビデオメッセージを寄せ、2020年に新憲法を施行したいと述べた。具体的な改憲項目としては、憲法9条の1項と2項を残し、新たに自衛隊の存在を明記する3項を付け加えるとした。

 自民党は独自に「憲法改正草案」を作成していたが、この内容は「法の支配」の原則や「個人の権利」を無視した、かなりお粗末な内容であり、現代の民主社会において、到底、受け入れられるものではなかった。

 安倍氏とその周辺は、もし国民投票で憲法改正が否決された場合、永久に改憲の機会が失われることを危惧し、国民に受け入れられやすい改正案を提示したものと考えられる。また安倍氏は個人的に、何としても自分の手で憲法改正を実現したいという思いが強く、改正の中身よりも改正の事実を優先した可能性は高い。

 これに激しく噛みついたのが、これまで安倍氏を強く支持してきた保守派の人たちである。保守派の言論人で「新しい歴史教科書をつくる会」の初代会長としても知られる西尾幹二氏は、8月18日付けの産経新聞にコラムを寄稿。加憲案を提示した安倍氏に対して、手抜き、保身、臆病風、闘争心の欠如など、かなり手厳しく批判した。

 実は保守派による安倍氏への批判は、昨年から顕著になっていた。国際政治学者で、安倍氏のブレーンとしても知られた中西輝政氏は、すでに安倍氏との決別宣言を行っている。

  安倍首相は攻撃的な口調を多用するので、対中強硬派に見えるが、実態は少々異なる。客観的な事実だけを見た場合、安倍内閣は、中国との間に領土問題が存在することを公式に認めてしまうなど、歴代の内閣の中で、もっとも中国に譲歩した政権であるともいえる。

 いわゆる保守派の中には、本当の意味で保守的な主張を唱える人と、いわゆる安倍首相のファンが混在しており、実は両者は水と油である。今回の分裂騒動は、こうした矛盾が加憲案をきっかけに顕在化しただけであり、それほど驚くような現象ではない。

 ただ、安倍首相の強固な支持層にガタ付きが出てきたことは、今後の政局に大きな影響を与える可能性がある。憲法改正がどのような方向に向かって動き出すのか、予想がつかない状況となってきた。

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