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パート労働者の時給が急上昇。コストプッシュ・インフレの前触れ?

 

 パートタイム労働者の賃金が大幅に上昇している。これまで低く抑えられてきた非正規社員の給料が上がること自体はよいことだが、最近の賃金上昇は人手不足による影響が大きい。世の中ではデフレ懸念一色だが、一方ではコストプッシュ・インフレの足音も聞こえ始めている。

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 毎月勤労統計によると、2017年6月のパートタイム労働者における時間あたり給与は前年同月比でプラス3.0%と大幅な伸びを示した。一般労働者(給与総額)は前年同月比でプラス0.4%であることを考えると、パート労働者の賃金上昇幅は大きい。

 パート労働者の時給は今年に入って著しい伸びを示しており、ほぼ毎月、前年同月比で2%を超える上昇が続いてきた。これまでパート労働者の賃金は低く抑えられてきたことを考えると、賃金の上昇自体は評価すべきことである。

 だが、賃金が上昇している理由を考えた場合、手放しでは喜べなくなってくる。一連の賃金上昇は企業の業績拡大に伴うものではなく、人手不足の深刻化が原因である。都市部におけるアルバイト・パートの平均募集時給は1000円前後だが、現実には1000円で人を集めるのはかなり難しい。

 多くの企業にとってパートやアルバイトは主戦力であり、コストをかけてでも一定数を確保しなければ業務が回らなくなっている。カード会社のクレディセゾンでは9月から2200名のパート労働者を正社員に移管する。同社にとってはコスト増加要因だが、人員確保を優先したものと思われる。

 このまま時給の上昇が続いた場合、企業にとっては減益要因となるため、製品やサービスの販売価格への転嫁が進む可能性がある。これがうまく機能すればデフレ脱却というシナリオになるが、必ずしもそうなるとは限らない。

 消費者の購買力は依然として弱く、大手スーパーのイオンは再度の値下げを決定したほか、家具販売のイケアまでもが大幅な値下げに踏み切った。イケアの家具は価格弾力性がそれほど高くないと考えられていたこともあり、同社の値下げは業界関係者を驚かせた。

 仮に消費が弱い状態で、労働コストの上昇分が価格に転嫁されてしまうと、さらに消費の停滞を招く可能性がある。これが進み過ぎれば、景気が低迷したまま、物価だけが上昇する、いわゆるスタグフレーションの状態に陥ってしまう。

 2017年4~6月期のGDP(国内総生産)は予想以上に個人消費が伸びており、ポジティブ・サプライズとなった。次の四半期のGDPで個人消費の伸びがどれだけ維持されるのか注目される。

 - 社会, 経済 ,

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