ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

習近平氏の腹心で兄貴分の王岐山氏が、常務委員続投を断念したことの政治的意味

 

 10月の中国共産党大会を目前に控え、習近平氏の腹心と言われた王岐山・中央規律検査委員会書記が退任する意向を示していることが明らかとなった。王氏が退任しても習体制に大きな変化はないが、習氏の権力集中を懸念する声が意外と大きかったことを印象づける結果となるかもしれない。

oukizan

 王氏は習氏が下放されていた文革時代からの付き合いで、いってみれば王氏は習氏の兄貴分的な存在である。経済の専門家であった王氏が規律検査委員の担当として常務委員入りしたのは、習氏による粛正工作を一手に引き受けるためだった。

 実際、王氏は習氏の期待に見事に応え、反腐敗運動の責任者として、習氏の政敵を次々と失脚に追い込んだ。王氏が誰かを摘発する時は、しばらくの間、公の場に姿を見せないことから、王氏の動静が伝えられなくなると、多くの幹部が震え上がったともいわれる。

 王氏は現在69歳なので、党大会時点における68歳以上の幹部は退任するという慣例に従った場合、10月の党大会で引退となる。だが王氏には定年を延長して常務委員を留任するという噂が出ていた。その理由は、習氏が続投を強く希望していたからである。

 習氏にとって王氏は数少ない「身内」であり、全幅の信頼を寄せているとも言われる。権力集中化をさらに進めたい習氏としては王氏を手放したくない。さらに言えば、王氏の定年延長を実現すれば、これが既成事実となり、習氏の3期続投という可能性が見えてくる。

 習氏の年齢は64歳で、さらに5年後の党大会の時点では定年に達する。習氏としては権力闘争に長けた王氏を続投させて権力集中を進め、最終的には自身の3選を実現する腹づもりだったと考えられる。

 習が王氏の続投を断念したのだとすると、その最大の理由は、習氏の権力集中を懸念する声が思いのほか大きかったということだろう。習氏は、江沢民グループや胡錦濤グループの牽制に成功しており、今のところ権力基盤は盤石である。王氏が退任しても、党大会後の政権運営に大きな支障はないと見る向きが多い。

 だが習氏の腹心で、一時期は李克強氏を押しのけて首相になるという噂まであった王氏を留任させられなかったという事実は、習氏の権力維持に関して微妙な影響を及ぼす可能性がある。

 - 政治 , ,

  関連記事

kosokudouro03
大型の公共事業がかえって内需拡大を邪魔している?求人倍率改善のウラ事情

 多くの国民にとってあまり実感が湧かないが、各地で人手不足が深刻になっている。厚 …

monka
大学の研究支援政策に変化の兆し。旧帝大中心は変わらずも、配分は実績重視へ

 大学など研究機関に対する国の支援方法に変化の兆しが出てきている。文部科学省は8 …

putingunjiryoku
ウクライナ情勢への懸念から米国への資金流出が続く。プーチン政権には打撃

 欧州景気に対する不透明感とウクライナ情勢への懸念から、投資資金が欧州から米国に …

takeshima
日本は竹島問題を提訴せず。安倍首相が韓国との関係改善を優先する3つの理由

 日本政府は、竹島の領有権問題をめぐって国際司法裁判所への単独提訴を当面、行わな …

kourai
尖閣諸島国有化から1年が経過。今後のカギを握るのは米中交渉の行方

 日本政府が尖閣諸島を国有化してから9月11日でちょうど1年となった。中国はこの …

euhonbu
EUが太陽光パネルのダンピングで中国と和解。大きな混乱はない模様

 中国製の太陽光パネルが不当に安く販売されているとして、欧州連合(EU)が反ダン …

kanntei
政府が2013年度のGDP見通しを上方修正。だが物価目標をめぐる政策の矛盾が露呈

 政府は28日に開催された臨時閣議で、2012~13年度の経済成長率見通しを正式 …

suga04
野党分断に八面六臂の活躍。安倍政権最大のキーマン菅官房長官

 安倍政権のキーマン中のキーマンといわれる菅官房長官の動きに注目が集まっている。 …

iijima
飯島参与の訪朝を受け入れた北朝鮮の窮状。朝鮮総連ビル落札問題も影響か?

 北朝鮮は5月18日から20日までの3日間で計6発の短距離ミサイルを発射した。い …

shirakawae
インフレ目標を頑なに拒否する日銀。その主張に説得力がない本当のワケとは?

 日銀の白川総裁は12日都内で会見し、インフレターゲットの導入について「物価も賃 …