金融庁が規制強化へ。ハイリスクなFX投資がここまで普及している国は日本だけ
このところ金融業界に対する指導を強化している金融庁が、今度はFX(外国為替証拠金取引)の規制強化に乗り出した。FXはハイリスク・ハイリターンを代表する商品だが、レバレッジの規制によって市場が縮小する可能性が出てきた。
FXはドルなどの外国通貨を一定の証拠金を差し入れて売買するサービスで、手持ち資金以上の金額を取引できる点が最大の魅力となっている。取引できる金額は証拠金の25倍までとなっているので、ごくわずかな手持ち資金しかない投資家でも、高額の取引が可能だ。
だが取引金額が大きくなれば、損が出た場合の金額も巨額となる。為替が大きく変動した際には、一瞬で手持ち資金を失う投資家も多い。金融庁は、最大で25倍まで可能となっている証拠金倍率を見直し、10倍程度に抑制することを検討している。
このところ金融庁は投資家保護のスタンスを明確にしており、毎月分配型の投資信託など、投資家の利益にならない商品の販売を控えるよう金融業界に強く要望するなど、かなり厳しい姿勢で臨んでいる。FXは比較的規制が緩かった業界だが、金融庁の厳しい姿勢がとうとうこの業界にも及んできた格好だ。
業界は当然のことながらあまり歓迎していないが、金融庁の措置はおおむね妥当といってよいだろう。
FXは日本では非常に人気のある商品だが、こうしたハイリスク・ハイリターンで投機性の高い商品が一般に普及している国は極めて珍しい。世界のFX取引のうち過半数が日本人によるものといわれており、日本人のFX好きは突出している。
本来、こうした商品は熟練した投資家が取り組むべきものだが、日本では投資の初心者がFXを始めるケースも多く、投資家がどこまでリスクを理解しているのか少々怪しい面があった。
こうしたリスクの高い取引に、一般的な投資家が多く参入しているという現実を考えると、レバレッジについては10倍程度にとどめておくのが賢明だろう。
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