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笹子トンネル事故が、抑制されてきた公共事業再開の大義名分になる可能性

 

 中央自動車道の笹子トンネル事故をきっかけに、これまで抑制されてきた公共事業がなし崩し的に再開されるのではないかという懸念が浮上している。

 今回の事故の詳細原因は特定できていないが、崩落したコンクリート製の天井版を吊り下げる金具部分が経年劣化した可能性が高くなってきている。
 実は中央自動車道に限らず、日本国内の道路や橋梁といった公共インフラは近年激しく劣化が進んでいる。総固定資本形成から固定資本減耗を引いた純固定資本形成は2009年度以降マイナスに転じており、マクロ的な統計もそれを裏付けている。だが劣化したインフラを修繕するための予算は十分に確保されていないのが実情だ。

 予算が確保できない最大の理由は、日本の公共事業が新規工事ばかりを優先してきたから。
 本来、道路や橋というものは、建設コストに匹敵するくらいのメンテナンス・コストがかかる。だが公共事業が利権と化している日本では、新規の建設ばかりが優先され、修繕費の存在を無視してきた。結果としておびただしい数の道路や橋を作ったものの、今となっては修繕費の捻出すら難しいという状況に陥っている。100年を過ぎても現役バリバリの施設が多数活躍している米国や英国とはずいぶん状況が違う。

 だが一度作ってしまった施設を放棄するのは、新しい公共事業を抑制することよりもはるかに難しい。あれだけ「ムダ」と叫ばれながら、八ッ場ダム一つ中止することすらできなかったのである。ましてや全国にあるおびただしい数の道路や橋を放棄するという決断は事実上困難だろう。また取り壊すにしてもコストがかかり、修繕を行うことと大して変わらないかもしれない。

 次期政権成立後、大規模な公共事業を再開させようという政治的動きが活発になっている。また自民党の安倍総裁が建設国債の日銀直接引き受けに言及したとして、市場では大きな話題となっている(本人は否定)。少なくとも、今後の積極的な財政出動について、多くの政治家の中で共有されていることは間違いない。

 このようなタイミングにおいて笹子トンネルの事故が起きてしまったことで、公共インフラの安全性を確保するという大義名分が出来上がったしまった。日銀が好むと好まざるとに関わらず、実質的な日銀ファイナンスによる財政拡大の道に進まざるをえない状況になりつつある。
 その先にマイルドな円安があるのか、それとも金利の高騰を伴う激しいインフレがあるのかは誰にも分からない。

 - 政治, 社会, 経済

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