大国インドが中国を牽制。南シナ海に海軍を派遣することを検討中
南シナ海での中国の動きに対して、大国インドが牽制球を投げた。インド海軍のジョシ参謀長(写真)は3日、南シナ海での海洋資源探査をはじめとした権益を確保するため、必要であれば艦隊を派遣する用意があると述べた。
中国は南シナ海においてフィリピンやベトナムと領有権をめぐって対立している。ここに大国であるインドが介入してくることにより、同地域の緊張がさらに高まる可能性が出てきた。
インドは同海域の領有権について主張しているわけではない。だがジョシ参謀長は同海域で増強が進む中国海軍について「インドにとって大きな懸念材料である」とし、「天然資源に関する権益を確保するためには艦船の派遣が必要であり、その用意はできている」と述べた。
インドと中国は1960年代に紛争を起こしている(中印国境紛争)。チベットの扱いをめぐりインドと中国が対立。武力衝突に発展し3000人を超える死者を出した。インドとパキスタンの争いでは中国は露骨にパキスタンを支援している。最近では双方が自制した状態が続いていたが、両国の関係は基本的に穏やかなものではない。今回の南シナ海問題をきかっけにインドと中国の関係が再度悪化する可能性も出てきた。
中国は同時期、インドのほかに旧ソ連とも国境紛争を起こしている(中ソ国境紛争)。現在、ロシアとの関係は悪化していないものの、日本、東南アジア、インドなど周辺国との軋轢を高めている点において冷戦下の状況に近いものがある。
当時は、ニクソン大統領による中国訪問で緊張が和らぐ結果となったが、現在の米国には当時のような指導力はない。中国が自制しない限り、中国と周辺国家との緊張状態が続くことになる。
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